子どもが癇癪を起こしたとき、イライラしてしまう...|感情の悪循環を断ち切る3つの対処法
子どもの癇癪にイライラ…どうしてこんなに怒ってしまうの?
読者:子どもが癇癪(かんしゃく)を起こすと、最初は冷静に対応しようと思っていても、だんだん自分もイライラして怒ってしまいます…。あとで自己嫌悪になるのですが、どうすればいいのでしょう?
ハタケ:すごく自然な反応ですよ。実際に2021年の研究(Ribaudoら)でも、親自身が過去にストレスフルな経験をしていたり、慢性的な疲労状態にあると、子どもの情動的な行動に強く反応しやすいことが示されています。
クロ先生:つまり、「癇癪を起こす子ども vs 我慢できない親」ではなく、「感情と感情がぶつかっている状態」なんです。2022年の研究(Cliffordら)でも、感情調整スキルは親子ともにトレーニングで高められるとわかってきました。
感情の悪循環を断ち切る3つの工夫
- 1. まず「自分の体」に注目:怒りが湧いてきたら、まずは足の裏・手のひらを感じてみて。五感を使って“今ここ”に戻る。
- 2. 「実況アナウンサー」のように観察する:「今、〇〇ちゃんは泣いて怒ってる」「私はちょっと呼吸が浅い」と客観的に実況してみると、感情に巻き込まれにくくなります。
- 3. 怒りそうな時の“決まり文句”を用意:「ママちょっと深呼吸してから話すね」と一言添えるだけで、子どもとの空気が変わります。
クロ先生:感情って、感染するんです。だからこそ、親が「自分の気持ちを整える」ことは、子どもの癇癪への最大のサポートにもなります。
ハタケ:「また怒ってしまった…」ではなく、「ちょっと頑張りすぎてたな」と気づくことが第一歩です。怒りを感じた時こそ、自分にやさしくしてあげてください。
投稿者プロフィール

- 精神科医/マインドルート代表医師
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2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。
試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。
「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。
また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。
所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会
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