本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

ソマティック・エクスペリエンシングとは?トラウマケアに役立つ身体志向のアプローチを専門家が解説

【専門家対話コラム】ソマティック・エクスペリエンシングって何?

読者 読者: 最近「ソマティック・エクスペリエンシング(SE)」っていう言葉を聞いたんですけど、どういう療法なんですか?
ハタケ ハタケ: いい質問ですね。ソマティック・エクスペリエンシングは、簡単に言うと「身体の感覚に注目するトラウマ療法」です。心の問題を、身体を通して扱うんです。
クロ先生 クロ先生: 実際に2025年の論文(Harwood-Grossら, 2025)では、戦争帰還兵のPTSD治療にSEを使ったところ、**感情の抑圧や身体反応に気づき、自分で安心できる感覚に戻れるようになった**という報告がありました。
ハタケ ハタケ: 話したくないトラウマでも、**無理に言葉にせず、身体の中で起こる微細な感覚(緊張やこわばりなど)を丁寧に追っていく**ことで、自然と解放が進むんです。
クロ先生 クロ先生: このアプローチは「交感神経と副交感神経のバランスを整える」ことにもつながります。不安や過覚醒(いつも緊張している状態)の人にも有効です。

実生活で使える3つのソマティック的TIPS

  • 1. マイクロムーブメントに気づく: 肩や手のこわばりなど、小さな身体反応を観察する習慣を。
  • 2. グラウンディング練習: 足裏に体重を感じるなど、今「ここ」に意識を戻す感覚を大切に。
  • 3. セーフプレイスの想像: 安心できる場所をイメージし、身体でその「安心感」を味わう。

まとめ

ソマティック・エクスペリエンシングは、言葉では処理しきれないトラウマや不安に対し、身体感覚を頼りに優しく働きかける療法です。特に、パフォーマンス時の過緊張や人前での不安に悩む方にも効果が期待されています。

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投稿者プロフィール

畠山 博行
畠山 博行精神科医/マインドルート代表医師
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。

試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。

「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。

また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。

所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会

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