本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

子どもが癇癪を起こしたとき、イライラしてしまう…|感情の悪循環を断ち切る3つの対処法

イライラをやさしく手放す。新規の方にもわかる〈親の落ち着き回復ガイド〉

読む時間 約4分印刷メモ付き

読者
読者:子どもが癇癪を起こすと、私まで怒ってしまいます。あとで自己嫌悪…。どうすれば良いですか?
ハタケ
ハタケ:それは自然な反応です。まずは親の心と体を落ち着かせる方法を知ることから始めましょう。手順はシンプルです。
クロ先生
クロ先生:完璧じゃなくて大丈夫。半分できたら前進です。

1. まず落ち着く方法(60秒でできること)

難しい技術は不要です。安全が保てている前提で、次の順番で行います。

  1. 足の裏を感じる(10秒):かかと→つま先へ体重をゆっくり移します。怒りで頭が熱くなる感覚が、少し体の下に戻りやすくなります。
  2. ゆっくり吐く(20秒)4秒吸って、6秒で吐くを2回。数を数えるだけでOKです。
  3. 視線を広げる(30秒):床→机→窓の順にゆっくり見ます。目の前の一点だけに集中していた気持ちがほぐれます。
ポイント:子どもが危なくないなら、先に親が落ち着くことを優先して構いません。落ち着きは伝わりやすい性質があります。

2. 実況モードのやり方(事実だけを短く言う)

評価や説教をいったん止めて、「いま見えていること」を短く言葉にします。頭の回転が落ち着きやすくなります。

言い方の例
  • 「大きな声が出ている」
  • 「私は心臓がドキドキしている」
  • 「積み木が床に落ちている」
避けたい言い方
  • 「いい加減にして」などの評価語
  • 「なんで分からないの?」などの詰問
  • 長い理由説明(火に油になりやすい)

3. 家の「合言葉」を3つだけ決める(迷わないための工夫)

困った時に使う短い言葉を家族で決めておくと、考える負担が減ります。紙に書いて貼っておくと使いやすいです。

・「いったんストップ」=動きを止める合図
・「あと1回でおしまい」=切り替えの合図
・「二択で決めよう」=順番にする/別の遊びにする
そのまま使える短文の例
  • 親「止まろう。何が起きた?」(事実だけ聞く)
  • 親「くやしい顔だね。あと1回で終わりにしよう」
  • 親「順番にする?別のにする?」(二択)

4. 親のイライラの前ぶれを知る(予防になる)

親にもスイッチがあります。よくある前ぶれを参考に、自分の3つを書き出しておきましょう。

  • テレビ音+兄弟の声が重なると反応しやすい
  • 時間夕方の空腹タイムは短気になりがち
  • 言葉「早くして」に自分が過敏に反応する など
環境から整える:音量を少し下げる/夕方の予定を詰めない/「早く」→「あと3分で出るよ」に言い換える。

ミニケース:3分で立て直した例

場面:お風呂前におもちゃで大声。親もイライラ。
対応:60秒で落ち着く→実況「声が大きい」「私は焦っている」→合言葉「あと1回でおしまい」「二択で決めよう(お風呂レース/本1冊)」。
その後:その日は「本1冊」を選択。翌日はタイマーを事前に置いたら、叫ぶ回数が減ったと感じられた。
※家庭や日によって違います。合う所だけ採用でOK。

よくある質問

Q. それでも怒鳴ってしまいました。
A. あることです。安全を確かめて、短い謝罪+合言葉に戻れたら十分です(例:「さっき大きい声になった。ごめん。あと1回で終わりにしよう」)。

Q. 子どもが全く聞いてくれません。
A. 聞けないほど疲れているサインかもしれません。まず水分と静かな場所。次に二択。説明は短く。

Q. 自分が先に爆発しそうです。
A. 休む権利があります。可能なら3分離れる/夕方だけ家事を減らす/支援先に相談など、親の回復を優先してよい場面です。

根拠メモ(主要のみ)

  • 感情に名前をつける・事実を短く言うと、過度な反応が下がる可能性(ラベリング研究の示唆)。
  • 親が「感情に寄りそう関わり方」を学ぶ介入で、家庭の雰囲気や子の行動が整いやすい報告。

※本記事は一般情報です。合う方法は年齢・発達・家庭状況で変わります。安全の確保を最優先にしてください。

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