本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

試合中のミスを引きずらない方法|精神科医監修の5つの対処法

試合中にミスを引きずらない方法――10秒で立て直す「切り替えルーティン」

ミス直後は脳の警報システム(交感神経)が強く働き、心拍・筋緊張・注意の狭まりが起きます。 ここで必要なのは「反省」より先に“行動で切り替える”こと。たった数秒の所作を決めておくと、 次のプレーに集中を戻せます。

10秒リセットの型(いつでも同じ順番)
1) 息を吐く(2秒) → 2) 姿勢リセット(胸をひらく) → 3) キーワード1語(例:丁寧/集中/ここから) → 4) 視線を一点(次の対象) → 5) 再開
※「5秒だけ反省→行動」もOK。長考はループの入り口です。
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読者:サッカーでパスミスを引きずって、次もミス…悪循環です。どうすれば早く切り替えられますか?

ハタケ(精神科医)

ハタケ:ミス後の焦りは自然な反応です。決めておいた一連の動作に入るだけで、 自律神経が落ち着き、注意が「次の手順」に戻ります。試合中のメンタル回復は重要で、 その場での自己調整やリアルタイム把握の有用性も示されています(Fu et al., 2022)。

ウェアラブルの活用(必要なら)

スマートウォッチ等で心拍上昇を検知→息を吐く通知、のように 行動の合図として使う方法もあります。あくまで主役はあなたのルーティン。 デバイスは「気づきのベル」として位置づけましょう。

クロ先生(臨床心理士・公認心理師)

クロ先生:「落ち込むな」より、やる動作を決めるのが近道です。ハイタッチ、胸に手→深呼吸、軽いジャンプ…。 数秒の儀式が“心のモード”を切り替えます。

今日から使える5つのTIPS(実例つき)

  • ① 5秒ルール:ミス直後は5秒だけ反省→すぐルーティンへ。長く考えない。
  • ② セルフトーク:あらかじめ決めた一言で自分をコーチ(例:「OK、次いこう」)。否定形は使わない。
  • ③ ミス後の儀式:ハイタッチ/タオル→深呼吸/足裏トントンなど、身体を動かす所作を固定。
  • ④ ボディランゲージ:うつむく代わりに背すじを伸ばす・視線を上げる。姿勢のフィードバックで感情も整う。
  • ⑤ 振り返りノート(3行):「状況/自分の反応/次の合図」。分析は試合後に回し、試合中は行動に集中

よくあるNG

  • 反芻(はんすう)ループ:「さっきのミス…」と考え続ける。→キーワード1語で中断。
  • 謝罪の連鎖:何度も謝ってプレーが遅れる。→合図→動作→次のポジションを優先。
  • 自己否定:「自分はダメだ」は注意を奪う。→具体行動(丁寧に/一歩目)へ言い換える。

まとめ:ミス=フィードバック、反応は練習できる

メンタルの強さは「ミスしないこと」ではなく、ミスしても戻れること。 あなた用の10秒ルーティンを決め、練習から同じ順番で回しましょう。試合でも自然に再現されます。

関連:スポーツメンタルトレーニング(オンライン対応)

参考

  • Fu et al. (2022). Real-time mental state evaluation & in-game recovery support in athletes. DOI

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