本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

【医師監修】スマートリングで体調管理|忙しいビジネスパーソンのための活用ガイド

医師が教える!スマートリングで体調を「見える化」するコツ

医師が教える!スマートリングで体調を「見える化」するコツ

このページは、忙しいビジネスパーソン向けに、スマートリング(RingConnやOuraなど)が“夜に安定して測れる指標”だけを使って、翌日の意思決定や予定調整に直結するコツをまとめたものです。機種ごとの差はありますが、就寝中の心拍(RHR)・心拍変動(HRV)・睡眠時間や規則性といったデータは研究も進んでおり、「自分比でのズレ」を見る用途であれば、信頼して活用することができます。


比べるのは「他人」ではなく「昨日の自分」

スマートリングが教えてくれる数字は、誰かと比べるためのものではありません。あなたの「いつもの状態」を知り、そこからどう変化しているかを見るためのものです。まずは次の4つに注目してみましょう。

  • 睡眠時間: 何時間眠れたか。
  • 睡眠の安定度: 毎日寝る時間、起きる時間がどのくらいズレているか。
  • 夜の心拍数: 寝ている間の平均的な心拍数。いつもより高い日は、体が疲れを抱えているサインかもしれません。
  • 夜の回復力: 寝ている間に体がどれだけ回復しているかの目安。いつもより低い日は、回復が追いついていない可能性があります。

まずは2〜4週間ほどデータを記録して「自分のいつもの状態」を知ることから始めましょう。この基準が分かると、その日の体調が客観的に分かり、無理なく行動を選べるようになります。


朝3分の「体調チェック」でその日を計画しよう

朝起きたら、アプリで先ほどの4つの項目をサッと確認し、その日の行動を決めましょう。

  • 「いつもの調子」

    絶好調のサインです。大切な商談や集中して取り組みたい仕事など、勝負のタスクをこなすのに適しています。

  • 「少し疲れ気味」

    睡眠が短い、夜の心拍数が高い、または回復力が低いといった状態です。この日は、午前中に大事な仕事を片付け、午後は書類の確認や移動など、比較的負担の少ない作業に切り替えましょう。会議も短めに設定するなど工夫が必要です。

  • 「かなり調子が悪い」

    2日続けて「少し疲れ気味」のサインが出ているなど、体が休息を求めている状態です。無理は禁物です。その日のタスクを減らしたり、早めに仕事を切り上げて早く寝るようにしたりするなど、体を休めることを優先しましょう。10〜20分程度の短い昼寝も、集中力を取り戻すのに役立ちます。


場面ごとのスマートリング活用術

1. 大切なプレゼンがある週

  • 数日前から: 睡眠と起床時間を毎日±30分以内に揃えましょう。睡眠を安定させることが、最高のパフォーマンスにつながります。
  • 前日: お酒は控えるのが賢明です。お酒は寝ている間の心拍数を上げたり、体の回復力を下げたりして、睡眠の質を悪化させることがわかっています。
  • 当日朝: 起きたらすぐに明るい光を浴びると、目が覚めやすくなります。

2. 決断が多い日

  • 朝の体調が「少し疲れ気味」なら、重要な判断は午前中に済ませ、午後は簡単な作業に集中しましょう。
  • カフェインは、一般的に健康な成人で1日400mgまでが安全な摂取目安とされています。夕方以降は控え、夜の眠りを守りましょう。

3. 飲み会がある日

  • 飲む量と終わる時間をあらかじめ決めておきましょう。
  • 翌朝の体のダルさと、スマートリングが示す「回復力」の低下具合を比べてメモしておくと、「自分に合ったお酒の量」が見えてきます。

4. 海外出張や時差がある国際会議

  • 出発の数日前から、寝る時間と起きる時間を少しずつ現地の時間に合わせると、時差ボケを和らげることができます。
  • 現地に着いたら、朝は明るい光を浴び、夜は強い光を避けるのがポイントです。

5. 「もしかして風邪?」

  • 寝ている間の体温の上昇、夜の心拍数の増加、そして回復力の低下が2日続いたら、要注意のサインです。
  • 無理をせず、睡眠をしっかり確保しましょう。症状が続く場合は、必ず医療機関を受診してください(スマートリングは病気を診断するものではありません)。

よくある間違いと解決法

  • 「総合点」だけで判断する: 総合スコアは目安です。睡眠時間、安定度、夜の心拍数、回復力といった個別の項目をチェックする習慣をつけましょう。
  • 「深い眠り」の時間にこだわりすぎる: 「深い眠りが短い」と気に病むより、まずは合計の睡眠時間と安定した睡眠リズムを整えることが大切です。
  • 昼寝が長くなる: 昼寝は10〜20分に留めましょう。長時間寝てしまうと、夜の睡眠に影響が出る可能性があります。

大切なこと(医療従事者からのメッセージ)

本記事は一般的な健康情報であり、病気の診断や治療の代わりにはなりません。胸痛、強い息切れ、発熱が続くなど、気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

また、機種によってデータの正確さは異なります。迷ったときは、夜の心拍数、回復力、睡眠時間、睡眠の安定度といった、より客観的で安定したデータに注目すると、判断にブレが少なくなります。


参考文献

  • 就寝中HR/HRVの妥当性: Cao R, et al. The Oura Ring for Sleep and Heart Rate Variability Monitoring: A Validation Study. JMIR Form Res. 2022.
  • 睡眠の規則性と健康リスク: Zheng N, et al. Associations of sleep regularity with health outcomes. Nat Med. 2024. / Windred D, et al. A review of the health impacts of sleep regularity. Sleep. 2024.
  • 不眠の第一選択(CBT-I): Edinger JD, et al. Behavioral and Psychological Treatments for Chronic Insomnia in Adults: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2021.
  • 時差対策(光・メラトニン): Centers for Disease Control and Prevention. CDC Yellow Book. 2025.
  • カフェイン安全性(成人の上限): European Food Safety Authority. Scientific Opinion on the safety of caffeine. EFSA Journal. 2015.
  • 飲酒が夜間の自律神経・睡眠に与える影響: de Zambotti M, et al. The effects of alcohol on autonomic nervous system activity and sleep stages. Alcohol Clin Exp Res. 2020.

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