リラックスに“効く食べ物”はある?バナナはどう?

読者:緊張しやすくて困っています。食べ物で落ち着けますか?バナナが良いと聞きました。

はたけ:カギはトリプトファンというアミノ酸。これは脳で“落ち着き”に関わるセロトニンの材料になります。とはいえ、食べた瞬間に魔法のように効くわけではありません。脳に届くまでの仕組みを味方につけるのがコツです。
やさしい仕組み解説:脳に届く“通行券”の話
トリプトファンは、他のアミノ酸といっしょに「脳への入口(関所)」を通ります。ここは先着順なので、たんぱく質だけを大量に食べると、ライバルが増えて通りにくくなります。一方、炭水化物を少し加えると入口の混み方が変わり、トリプトファンが通りやすくなることが知られています(牛乳+オートミール+バナナのような組み合わせがわかりやすい)。
さらに、トリプトファンがセロトニンになる過程では、ビタミンB6なども手伝います。つまり、いろんな栄養のチーム戦だと思ってください。
すぐ試せる「3つの食べ方ルーティン」
- 朝:牛乳やヨーグルト+オートミール(小盛り)+バナナ少量。
たんぱく質(乳製品)と炭水化物(オーツ)をセットにすると、トリプトファンが脳に届きやすい“通り道”を整えやすくなります。 - 午後のおやつ:素焼きナッツひと握り+小さな果物。
空腹が深くなるとイライラが出やすいので、小さくつなぐのがコツ。 - 寝る前:温かいミルク少量か、常温ヨーグルト。
カフェインは避けて、体温が少し下がるタイミングに眠りに入りやすいよう整えます。
※個人差があります。持病・アレルギー・食事制限のある方は医療者にご相談ください。
飲み物の「OK/控えめ」ガイド
- OK:水、白湯、カフェインレスの温かい飲み物(就寝前)
- 控えめ:コーヒー・エナジードリンク(交感神経を刺激しやすく、落ち着きにくくなることがある)
よくある誤解と正しい使い方
- 誤解:「バナナさえ食べればリラックスできる」
正しくは:バナナにもトリプトファンはありますが、単体で劇的な変化は期待しすぎないで。乳製品や穀類と組み合わせて、少しずつ整えるのが現実的です。 - 誤解:「サプリを多く飲めば早い」
正しくは:研究では良い示唆もありますが、効果は人によりばらつきがあります。薬との相互作用もありえるので、まずは食事から/サプリは医師と相談が安心です。
参考文献(やさしい深掘り)
- 炭水化物と脳内セロトニンの関係(古典的研究の総説的解説)
- 食事(炭水化物/たんぱく質)とトリプトファンの脳への取り込み
- L-トリプトファン総説:気分・行動との関連
- トリプトファン摂取と気分への影響(系統的レビュー)
- 睡眠と食事の循環的関係(睡眠に関する総説)
- トリプトファン枯渇とストレス時の脳反応(fMRI研究)
- セロトニンの基礎(StatPearls)/ビタミンB6(PLP)と酵素反応
※本記事は一般情報です。体調・持病・服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は、必ず医療者にご相談ください。
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