本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

「子育て向いてないかも…」と感じたときに試してほしいマインドリセット法

【専門家対話コラム】「子育て向いてないかも…」と思ったときの〈マインドリセット〉

そう感じる日は、だれにでもあります。結論はシンプル。向き・不向きではなく、脳の余裕と助け方の問題です。ここでは仕組みをやさしく説明し、今日からできる小ワザで「自信の元手」を取り戻します。

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読者:失敗が続くと「私って向いてない」と落ち込みます。どう立て直せますか?
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ハタケ:完璧主義ほど自己評価が下がりやすいです。まずは「できた小ささ」を拾い集める設計に変えましょう。
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クロ先生:環境の工夫と仲間の支えは大きな味方。ひとりで抱えない仕組みを先に作るのがコツです。

なぜ効く?(しくみ)

「向いてない感」は、睡眠不足や情報の多さで扁桃体が過敏になり、司令塔の前頭前野の余力が下がると強まりやすくなります。さらに、人は失敗を大きく見積もり、成功を小さく見積もるネガティビティ・バイアスを持っています。

研究では、自己効力感(できる感)が親のメンタルと育児の手応えに関わること、そしてグループ支援や情報の共有が自信の回復に役立つことが示されています。難しいテクニックより、小さな達成と支えの設計が効きます。具体的な切り替えは、同サイトの「感情と脳のリセット術」も参考になります。

今日からできる手順

  1. 30秒ラベリング:小声で「疲れ」「不安」「焦り3/10」と一語で表す。評価や反省は後でOK。(くわしくは 感情の整え方
  2. 1日の“できたメモ”を3つ:水をこぼさず注いだ/5分いっしょに座れた、など小ささ重視。寝る前に見る。
  3. サポートの見える化:家の中に「SOSカード」を1枚(例:洗濯はお願い/5分だけ交代)。メモを冷蔵庫に貼るだけで良い。気分転換の実例は「室内遊び場での親の回復法」が参考に。
コツ:(1)比較は「昨日の自分」だけ。(2)夜に重大決定をしない「夜ルール」。(3)うまくいかない日は“できたメモ”を1つで終了——続けるほうが勝ち。完璧主義が気になる人は「育休明けの完璧主義」もどうぞ。

ミニケース

Before:寝かしつけが長引き、「私、向いてない…」のグルグル。
After:「疲れ7/10」とラベリング→できたメモに「歯みがき完了/絵本2冊」を記入→パートナーへSOSカードで「洗い物交代」を依頼。翌朝、自己効力感が少し戻り、同じ手順を再現できた。イヤイヤ期の対処は「感情を整える4つの工夫」が役立つ。

よくある質問(FAQ)

Q. そもそも「向いてない」人っていますか?
A. 能力の差より睡眠・環境・支え方の差が大きいです。小さな成功を見える化すれば、手応えは作れます。

Q. SNSを見ると落ち込みます。
A. SNSは編集された一瞬。夜は見ない、午前に5分だけなど見る時間を決めるのが効果的。

Q. パートナーに頼みにくい…
A. その場の交渉より、事前の「SOSカード」が有効。文面を固定し、貼っておくだけにしましょう。

参考文献(PubMed)

  • Mazandarani N, et al.(2025)Infant sleep, maternal mental health, and the mediating role of maternal self-efficacy. J Pediatr Psychol. PMID: 40125868 PubMed
  • Dahlberg A, et al.(2025)Group-based tailored support and parental confidence: a community study. Scand J Public Health. PMID: 40148911 PubMed
  • Albulescu P, et al.(2022)Micro-breaks and well-being: systematic review & meta-analysis. PLOS ONE. PMID: 36044424 PubMed

※本記事は一般情報です。症状・治療の判断は資格を持つ専門家へご相談ください。

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