本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

オンライン催眠療法とは?

— 流れとよくある誤解への回答 —

「催眠療法に興味はあるけれど、正直ちょっと怖い」
「オンラインで本当に大丈夫なの?」

こうした声はとても自然なものです。
“催眠”という言葉には、どうしてもイメージが先行しやすいですよね。

まずお伝えしたいのは、臨床で扱う催眠(催眠療法)は「不思議な力で何かを起こすもの」ではなく、 注意の向け方(集中)や、緊張・呼吸などの身体反応の整え方を、安心できる範囲で練習していく という側面が中心だという点です。23 そのため、試合や発表などの本番で緊張しやすい方、集中の切り替えが苦手な方、眠る前に頭が休まりにくい方などにとって、 「合う可能性のある選択肢」のひとつになり得ます。

ただし、催眠療法は誰にでも同じように当てはまる万能な方法ではありません。だからこそ最初に、 今の状態や目的に照らして、無理なく取り組めそうかを丁寧に確認します。 状況によっては、催眠を使わずに別の方法から始めた方が良いこともあります。

10代の方についても、状態と目的が合えば検討できることがあります。 ただ未成年の場合は、本人が納得しているか、保護者の関与の仕方(同席の有無、守秘の扱い)、 オンライン環境の安全(周囲に聞かれないこと/中断できること/連絡手段)などを、特に丁寧に確認したうえで進めます。4

このコラムでは、オンラインで行う催眠療法がどのような流れで進むのか、そして多くの方が感じやすい疑問や誤解について、 分かりやすくお伝えします。


オンライン催眠療法の流れ

① まずは通常のカウンセリングから始まります

最初から催眠を行うことはありません。初回は通常のカウンセリングとして、

  • 今困っていること
  • これまでの経緯
  • 催眠療法に対する不安や疑問

について、丁寧にお話を伺います。

この段階で、
「今は催眠を使わないほうがよさそう」
「別の方法が合っていそう」
と判断することもあります。

② 催眠療法が合いそうかを一緒に確認します

催眠療法は万能な方法ではありません。そのため、

  • 今の心身の状態
  • 安心して取り組めそうか
  • どのような目的で行うか

を確認しながら、行うかどうかを一緒に決めていきます。
無理に進めることはありません。

③ オンラインならではの環境づくり

催眠療法に大切なのは、特別な道具ではなく「安心できる環境」です。

  • 静かで落ち着ける場所
  • 途中で中断されにくい時間
  • 楽な姿勢(横になっても構いません)

自宅など慣れた場所で受けられることは、オンラインの大きなメリットです。

④ 会話を続けながら、自然な集中状態へ

催眠といっても、急に何かが起こるわけではありません。

  • 会話をしながら
  • 呼吸や体の感覚に注意を向け
  • イメージや言葉を使って

自然に集中が深まっていく状態を作っていきます。
眠らせたり、意識を失わせたりすることはありません。23

⑤ 体験の確認と振り返り

催眠体験の後は、

  • どんな感覚があったか
  • 変化や気づきはあったか
  • 違和感はなかったか

を一緒に振り返ります。
必要に応じて、次回の進め方を調整します。

⑥ 普段の状態に戻って終了

最後に、

  • 意識をはっきり戻す
  • 体の感覚を確認する

などを行い、日常の状態に戻って終了します。


催眠療法についてのよくある誤解・質問

Q. 催眠で意識がなくなってしまいますか?
→ いいえ。意識は保たれたままで、話すこともできます。2
Q. 操られたり、コントロールされたりしませんか?
→ 催眠中もご本人の意思は保たれます。望まない提案は受け入れる必要はありません。必要があれば、自分で状態を戻すこともできます。1
Q. 変なことを言ったり、恥ずかしい行動をしませんか?
→ 臨床で行う催眠は、とても静かで内面的な体験です。3
Q. 催眠にかかりやすい体質が必要ですか?
→ 特別な体質よりも、「安心できるか」「今の状態」が大切です。2
Q. オンラインでも安全ですか?
→ 安全に配慮した進め方を行います。慣れた場所で受けられる安心感もあります。
(特に10代の方は、周囲に聞かれない環境や中断手順、連絡手段、守秘の扱いなどを事前に確認します。)4
Q. 催眠から戻れなくなることはありませんか?
→ 通常は自然に日常の状態に戻れます。必要があれば自分で状態を戻すこともできます。1
Q. 誰にでも効果がありますか?
→ 合う方には役立つことがありますが、すべての方に合う方法ではありません。3

さらに:スポーツメンタルトレーニング等への応用について

ここで言う“催眠”は、不思議な力で何かを起こす話ではなく、注意の向け方(集中)身体反応(緊張・呼吸・心拍など)の整え方を練習する側面があります。2

そのためスポーツの場面でも、試合前の緊張の整え方、プレー中の切り替え、イメージ(メンタルリハーサル)の使い方、 ルーティンの定着といった「準備・集中・切り替え」に応用できる考え方が含まれます。もちろん、ここも大切なのは 「合うかどうか」を個別に判断することです。


最後に

催眠療法は、「不思議な力を使うもの」でも「無理に受けるもの」でもありません。
自分の内側に、安心して目を向けるための一つの方法です。2

「自分に合いそうか」
「どんな進め方になるのか」
まずはそこを一緒に確認するところからで大丈夫です。
少しでも気になったら、気軽に相談してみてください。


参考文献・ソース

  1. NHS. Hypnotherapy(催眠中も本人はコントロール可能/必要なら自分で抜けられる等)
    https://www.nhs.uk/tests-and-treatments/hypnotherapy/
  2. American Psychological Association, Division 30 (Society of Psychological Hypnosis). About / Definition of Hypnosis
    https://www.apadivisions.org/division-30/about
  3. Royal College of Psychiatrists. Hypnosis and hypnotherapy
    https://www.rcpsych.ac.uk/mental-health/treatments-and-wellbeing/hypnosis-and-hypnotherapy
  4. American Academy of Pediatrics. Confidentiality in the Care of Adolescents: Policy Statement(思春期医療における守秘と配慮)
    https://publications.aap.org/pediatrics/article/153/5/e2024066326/197124/Confidentiality-in-the-Care-of-Adolescents-Policy

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