本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

沖縄尚学 優勝の設計力――「人を育てる」指導が試合を強くする

沖縄尚学の皆さん、優勝おめでとうございます!!✨——監督の、人をていねいに育てるといった教育方針が、今日の一球一打を支えた。その静かな設計力にも、心から拍手です!そして、選手の皆様本当にお疲れ様でした!!🎉

勝負は一瞬で決まるけれど、その一瞬をつくるのは毎日の積み重ねです。比嘉公也監督の「野球だけしにきた、ではダメ」という言葉は、練習のときも、ふだんの立ち居振る舞いの中にも息づいていたのでしょう。だからこそ、グラウンドに立ったときも自然体で強い。見ていて、そんな“つよさの理由”がふっと伝わってきました。

人間力を大切にする設計は土壇場で効く

選手が「自分で考え、選び、仲間と手応えを分かち合える」チームは、土壇場でも崩れません。スポーツ心理学では、こうした関わりを自己決定理論(自律性・有能感・関係性)の観点から説明します。内側からのやる気が育つと、言われたから動くのではなく、自分たちの意思でプレーの質がそろっていくのです。

そして、リーダーが「私たちらしさ(チームの物語)」を一文で言えるようにしておくと、判断の迷いが少なくなります。沖縄尚学の落ち着いた試合運びには、その“小さな合言葉”が背中を押していたのかもしれません。

まだ言葉が決まっていなくても大丈夫。きょうは仮で1行だけ——「私たちは、____。」とメモに置いてみましょう。

時間より「狙い」。小さく設計して、確かに進む

長くやるより、何を伸ばすのかをはっきりさせること。弱点にしぼって反復し、すぐにフィードバックを回す熟達練習(deliberate practice)は、多くの領域で上達と結びつくことが示されています。

さらに、「もし◯◯なら××をする」と前もって決める実行意図(If–Then)は、迷いを減らして行動を前に進める方法です。小さな丁寧さの積み重ねは習慣になり、やがて体が自然に動くようになります。ゆるやかに伸び悩む“プラトー”も、ときどき狙いを刷新することで越えていけます。

きょうの一歩は何にしますか。——「狙いはひとつ」を声に出してから、スタートしましょう。

本番前は「短く・一貫・意味ある手順」

緊張は低すぎても高すぎても崩れやすい——いわゆる逆U字の関係です。だから直前は、短く・一貫・タスクにつながる手順で整えるプレパフォーマンス・ルーティン(PPR)が合います。レビュー研究でも、こうした整えは安定した遂行に役立つとまとめられています。

また、プレッシャーで動作がぎこちなくなるチョーキング(choking)は、注意の向けどころや過度の自己監視が原因のひとつ。ルーティンを固定しておくことは、その“揺れ”を小さくする現実的な手当てです。

まずは30〜60秒。いつも同じ順番で、同じ呼吸で。——できるところからで十分です。

明日からのための、3つの“小さな設計”

  • 合言葉を1行に:チーム(自分)の“らしさ”を一文で。朝と終わりに同じ言葉で確認。
  • 狙いはひとつ:始める前にテーマを一つだけ。終わりに30秒の振り返り(If–Thenを添えて)。
  • 手順を固定:本番前は“短く・一貫・意味のある手順”。声量よりも、落ち着きと再現性を。

沖縄尚学の皆様、本当におめでとうございます。技術だけでなく、人間力を大切にしてきた方針が、勝負の瞬間に力となったのではないかと感じます。選手の皆さんの活躍は、TVの向こうで応援する方達にも、きっと何かしらの活力に繋がっています。

結果には、過程の透明感が宿る。次の季節も、沖縄尚学の“人を育てる力”が、グラウンドに美しく表れることを楽しみにしております。

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