【専門家対話コラム】「誰にも頼れない…」と感じるママへ——孤独感とそっと向き合う3つのセルフケア
「頼れる人が思い当たらない」と感じると、心がぎゅっと硬くなることがあります。ここでは、難しい理論は置いておき、小さく試せる工夫を中心にまとめました。すべてをやる必要はありません。合いそうなものを一つだけ、ゆるくどうぞ。



なぜ効く?(しくみ)
つながりの感覚が弱まると、警報役の扁桃体が働きやすくなり、落ち着きを助ける前頭前野の余裕が減ることがあります。短い言葉で気持ちを表すラベリングは、感情の波を少し整えやすくするという報告がいくつかあります(個人差はあります)。
また、産前産後の時期は社会的サポートの有無が心身の調子に関係しやすいとされます。必ずしも「親友」や「長時間の支援」でなくても、浅くてやさしいつながりを複数持つことが、負担の分散につながることがあります。
今日からできる手順(3つのセルフケア)
- 本音3語メモ(30〜60秒):紙やスマホに「さみしい/疲れ/がんばった」など3語だけ。評価や反省は後でOK。見える場所に置くと続けやすいです。
- ゆるいつながりを1件増やす(1〜3分):近所で「おはようございます」と一言/児童館の受付に「初めてです」と伝える/オンラインで「いいね」を1回だけ、など。会話の上手さより、回数を意識。
- 自分へのOKサイン(15秒):寝る前に手を胸に当てて「今日はここまででOK」と小さく言う。小さな完了感は、翌日のエネルギーを残しやすいです。
自治体・身近な相談先の見つけ方(日本)
名称や利用条件は地域で異なることがあります。以下は多くの自治体にある例です。詳しくは各自治体の公式サイトをご確認ください。
- 子育て世代包括支援センター(ネウボラ):妊娠期〜子育て期の総合窓口。保健師さん等に気軽に相談できることがあります。
- 子育て支援センター/児童館:短時間の立ち寄りや、相談日が設けられていることがあります。
- 保健センター(乳幼児健診の窓口):育児や体調の相談先として案内してもらえる場合があります。
- ファミリー・サポート・センター:一時的な預かり・送迎等の支え合い制度がある地域もあります(有料の場合あり)。
- 産後ケア事業/一時預かり:デイ・宿泊型など、自治体が実施しているケースがあります。
- 子ども家庭支援センター/児童相談所:不安が強い・緊急時の相談窓口になりうる機関です。
ミニケース
After:スマホを伏せて「重い/不安/がんばった」と3語メモ→翌朝、公園で管理人さんにだけ「あ、おはようございます」→週内に児童館へ5分だけ顔出し。深い会話はなくても、気分の底が少し上がったように感じられた。
よくある質問(FAQ)
Q. “浅いつながり”でも意味がありますか?
A. あいさつや短いやり取りでも、「社会とつながっている感覚」が積み上がると感じる方は少なくありません。負担にならない範囲で試すのがおすすめです。
Q. 本当に頼れる人が思いつきません。
A. まずは自治体の窓口や児童館など、誰に話してもよい場所からが始めやすいかもしれません。最初は短時間・一言だけでも十分です。
Q. SNSで悪化する気がします。
A. 夜は見ない・午前に5分だけなど、時間のルールを決めると楽になる方がいます。刺激の強い投稿はミュートも一案です。
参考文献(PubMed)
- Bunke C, Keck T(2025)A lack of sexual autonomy is associated with increased loneliness in young mothers. BMC Women’s Health. PMID: 39755608 PubMed
- Żyrek J, et al.(2024)Social support during pregnancy and risk of postpartum depression. Scientific Reports. Article
- Holt-Lunstad J(2024)Social connection as a critical factor for mental and population health. Ann Rev Public Health. PMC
- Lieberman MD, et al.(2007)Putting feelings into words: affect labeling disrupts amygdala activity. Psychological Science. PMID: 17576282 PubMed
※本記事は一般情報です。制度や窓口の内容は地域によって異なる場合があります。緊急時は安全確保を優先し、必要に応じて医療機関や公的窓口にご相談ください。
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