本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

集中できないのは脳のせい?注意力と思考のばらつきの関係とは

特集|どうして集中できない?――脳のしくみと、今日からのコツ

3行で要点

  1. 集中は、外を見るモード内側を考えるモードの切り替えで決まる。
  2. 気が散るのは、内側モードにスイッチが入りっぱなしになっていることが多い。
  3. 見る場所を先に決める・時間を区切る・短くリセットで、元に戻しやすい。

読者からの質問

読者

読者:
仕事中にすぐ気が散ってしまいます。これは脳の問題? 注意力は鍛えられますか?

ハタケの回答:集中は「スイッチの練習」で良くなります

ハタケ

ハタケ:
集中力は性格ではなく、脳の切り替えの問題です。外に注意を向ける回路と、ぼんやり内側へ向かう回路があります。内側に寄りすぎると、考えが散らかりやすくなります。
研究でも、考えがあちこちに飛びやすい人は、内側モードが強くなりがちだと報告されています( Raffaelli 2025)。

クロ先生の解説:何を見るかを「先に決める」とブレにくい

クロ先生

クロ先生:
集中は、何に注意を向けるか決める力と、次に来るものを少し先読みする力で支えられます。先に「これを見る」と決めておくと、脳が迷いにくくなります( Preisig 2025)。

かんたん図解|注意の切り替え

  • 外モード:仕事・画面・相手の声に集中。
  • 内モード:空想・過去や未来の考えごと・自己評価。
  • スイッチ役:いまは外?内?を判断して切り替える。

※「意志が弱いから」ではなく、スイッチの入り方の問題。直せます。

今日からできる:集中を取り戻す5つのコツ

① 最初に「見る場所」を1つだけ決める

  • 焦点1行メモ:紙に「今日は:企画の導入2段落」と書いてPC前に置く。
  • 画面は1つだけ:全画面表示。通知はオフ。

② 25分集中→5分休みのリズム

  • タイマーで区切る:25分は一点集中、5分は立って伸びる・水を飲む。
  • 始めの2分は“助走”:キーワードを5個だけ書き出すと、頭が仕事モードに入る。

③ 90秒リセット(気が散ったら)

手順:吐く長め呼吸(4秒吸う→6〜8秒吐く×5)→ 画面の左上を1秒見る→焦点1行を声に出して再開。

④ 机まわりの「じゃま」を減らす

  • 距離:スマホは手の届かない所へ。
  • 電源:作業に不要なアプリは一括オフ。
  • 視界:机上は「今使う書類1束」だけ。

⑤ ミニ・マインドフル(30〜60秒)

  • いまの気分に名前:「眠気40/100」「そわそわ60/100」→それでも2分だけ始める。
  • 雑念に気づいたら:足裏→呼吸→焦点1行へ“そっと戻す”。

よくあるつまずき → こう直す

  • 始められない:2分だけ」宣言→タイマー→キーワード5つ。
  • 通知で中断:次の5分で返す」と決め、今は焦点に戻る。
  • 眠い:立って深呼吸×5→その場ステップ30秒→水を一口。
  • 完璧に固まる:まずは「粗く全体」、次に段落を整える。

7日ミニプラン

  1. Day1:机を「焦点1行だけ見える」状態に。
  2. Day2:25-5を2セット。終わったら「できたこと」を3語で記録。
  3. Day3:90秒リセットを3回入れてみる。
  4. Day4:ミニ・マインドフルを朝昼夕に各30秒。
  5. Day5:距離・電源・視界の見直し。
  6. Day6:2分助走→25分集中を朝イチで実施。
  7. Day7:記録を見返し、焦点1行の精度を上げる。

まとめ:集中は「スイッチの練習」で育つ

集中できないのは意志の弱さではありません。焦点を決める・時間を区切る・短くリセットする――この3つで、 内側から外側へスイッチを戻せます。まずは焦点1行2分だけから試しましょう。

参考文献

  • Raffaelli Q, et al. Mind-wandering variability and ADHD traits. 2025. PubMed
  • Preisig BC, et al. Predictive coding & selective attention in language processing. 2025. PubMed

※本記事は一般情報です。つらさが続く場合は専門家へご相談ください。

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