本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

パパの関わり方で変わる子どもの心|感情調整力を育てる“父性”のチカラとは?

【専門家対話コラム】パパの「関わり方」で変わるかも?——子どもの気持ちに寄りそう実践ヒント

「もっと関わってほしい。でも何が正解?」——そんな迷いに、短時間でも取り入れやすい関わり方をまとめました。量より“質”、つまり気持ちに寄りそう姿勢が手がかりになることが多いと示唆されています。

読者
読者:パパがもっと関わってくれたら…と思います。具体的に何をすると良さそうでしょう?
ハタケ
ハタケ:「たくさん」より「どう関わるか」。短くても、気持ちを受け止めるやり取りは安心感につながりやすいと言われます。
クロ先生
クロ先生:父子の遊びは刺激的になりがち。その中で言葉で気持ちをなぞると、感情のブレーキ練習になり得ます。無理のない形からでOKです。

なぜ効く?(しくみ)

子どもは「気持ちをわかってもらえた」と感じると、警戒モードが下がり、学びやすい状態に切り替わることがあります。レビュー論文では、父親の関与と子どもの情動調整の関連は測定法や家庭状況でばらつくものの、質の高い関わりがプラスに働く可能性が示されています。共同養育(ママ/パパの協力関係)が整うほど、情動面に良い変化が見られやすいという報告もあります。

今日からできる手順

  1. 気持ちに名前をつける:「びっくりしたね」「悔しかったかも」。助言はその後に一言だけ。
  2. 実況→二択:「ブロック崩れたね。直す?休憩?」と状況を短くなぞって、選びやすい二択を出す。
  3. 遊びの“ダイヤル”調整:盛り上がり過ぎたら「今3→2に下げよう」。終わりは「あと1回」で見通しを共有。
コツ:「教える」より先に共感→その後に提案。平日は「共感1分+二択1回」でも積み重ねになりやすいです。

ミニケース

Before:片付けで毎回バトル。パパは早口で指示、子は泣く。
After:「名残惜しいんだよね(共感)」→「あと2回で終わり(予告)」→「箱に投げ入れ競争(遊び化)」に変更。数日で号泣は減り、「あと1回」で切り替えやすくなったと感じられた。再現ポイントは短い共感→見通し→小さな選択

よくある質問(FAQ)

Q. 平日は時間が取れません。
A. 「1分×回数」でも良さそうです。帰宅直後に“気持ち1語+二択”を固定化すると、短時間でも安心感が積み上がることがあります。

Q. 感情の言語化が苦手です。
A. 「うれしい/かなしい/くやしい/びっくり」の4語だけでも十分。迷ったら「モヤモヤかな?」と仮の言葉を置いてみましょう。

Q. 本当に父の関わりは効果がありますか?
A. 一律ではありませんが、質の高い関与や共同養育の整いが情動面に良い方向へ関連する報告があります。家庭の状況に合わせ、無理なく続けることが現実的です。

自治体・学び場のヒント(日本)

  • 両親学級・父親教室:市区町村の保健センターで開催されることがあります。
  • 児童館・子育て支援センターパパデーなどの企画がある地域も。短時間の参加でもOKな場合があります。
  • 地域の子育て講座/オンライン講座:「(市区町村名) 子育て講座」「父親 教室」で検索すると見つかりやすいです。
検索のコツ:(市区町村名) 子育て支援」「(市区町村名) 児童館 パパ」などのキーワードで、公式サイトのページにたどり着けることが多いです。

参考文献(PubMed)

  • Puglisi N, et al.(2024)Father involvement and emotion regulation during early childhood: a systematic review. BMC Psychology. PMID: 39558210 PubMed
  • Burkhardt SCA, et al.(2024)The Tuning in to Kids parenting program delivered online improves emotion socialization and child behavior: RCT. Scientific Reports. PMID: 38424200 PubMed
  • Ansar N, et al.(2024)Emotion-focused skills training and parent outcomes. Psychotherapy Research. PMID: 37311111 PubMed
  • Osborne A, Ahinkorah BO(2024)The paternal influence on early childhood development in Africa. Child Adolesc Psychiatry Ment Health. PMID: 39643898 PubMed

※本記事は一般情報です。家庭の事情や発達の個別性により対応は異なります。具体的な判断は、医療機関・公的窓口・専門職にご相談ください。

わが家向けの声かけを一緒に整えたい方は、オンライン相談(30分)で無理のない始め方を検討してみましょう。

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