【専門家対話コラム】パパの「関わり方」で変わるかも?——子どもの気持ちに寄りそう実践ヒント
「もっと関わってほしい。でも何が正解?」——そんな迷いに、短時間でも取り入れやすい関わり方をまとめました。量より“質”、つまり気持ちに寄りそう姿勢が手がかりになることが多いと示唆されています。



なぜ効く?(しくみ)
子どもは「気持ちをわかってもらえた」と感じると、警戒モードが下がり、学びやすい状態に切り替わることがあります。レビュー論文では、父親の関与と子どもの情動調整の関連は測定法や家庭状況でばらつくものの、質の高い関わりがプラスに働く可能性が示されています。共同養育(ママ/パパの協力関係)が整うほど、情動面に良い変化が見られやすいという報告もあります。
今日からできる手順
- 気持ちに名前をつける:「びっくりしたね」「悔しかったかも」。助言はその後に一言だけ。
- 実況→二択:「ブロック崩れたね。直す?休憩?」と状況を短くなぞって、選びやすい二択を出す。
- 遊びの“ダイヤル”調整:盛り上がり過ぎたら「今3→2に下げよう」。終わりは「あと1回」で見通しを共有。
ミニケース
After:「名残惜しいんだよね(共感)」→「あと2回で終わり(予告)」→「箱に投げ入れ競争(遊び化)」に変更。数日で号泣は減り、「あと1回」で切り替えやすくなったと感じられた。再現ポイントは短い共感→見通し→小さな選択。
よくある質問(FAQ)
Q. 平日は時間が取れません。
A. 「1分×回数」でも良さそうです。帰宅直後に“気持ち1語+二択”を固定化すると、短時間でも安心感が積み上がることがあります。
Q. 感情の言語化が苦手です。
A. 「うれしい/かなしい/くやしい/びっくり」の4語だけでも十分。迷ったら「モヤモヤかな?」と仮の言葉を置いてみましょう。
Q. 本当に父の関わりは効果がありますか?
A. 一律ではありませんが、質の高い関与や共同養育の整いが情動面に良い方向へ関連する報告があります。家庭の状況に合わせ、無理なく続けることが現実的です。
自治体・学び場のヒント(日本)
- 両親学級・父親教室:市区町村の保健センターで開催されることがあります。
- 児童館・子育て支援センター:パパデーなどの企画がある地域も。短時間の参加でもOKな場合があります。
- 地域の子育て講座/オンライン講座:「(市区町村名) 子育て講座」「父親 教室」で検索すると見つかりやすいです。
参考文献(PubMed)
- Puglisi N, et al.(2024)Father involvement and emotion regulation during early childhood: a systematic review. BMC Psychology. PMID: 39558210 PubMed
- Burkhardt SCA, et al.(2024)The Tuning in to Kids parenting program delivered online improves emotion socialization and child behavior: RCT. Scientific Reports. PMID: 38424200 PubMed
- Ansar N, et al.(2024)Emotion-focused skills training and parent outcomes. Psychotherapy Research. PMID: 37311111 PubMed
- Osborne A, Ahinkorah BO(2024)The paternal influence on early childhood development in Africa. Child Adolesc Psychiatry Ment Health. PMID: 39643898 PubMed
※本記事は一般情報です。家庭の事情や発達の個別性により対応は異なります。具体的な判断は、医療機関・公的窓口・専門職にご相談ください。
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