本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

「場慣れで緊張は克服できる」は本当?科学的根拠と早く慣れる3つのコツ

「場慣れ」は科学的に正しい?――緊張が減るしくみと、早めるコツ

「場慣れ」は、こわい・緊張する場面を少しずつ繰り返して経験することで、 脳が「ここは安全だ」と学び、不安の反応が小さくなるプロセスです。心理学では 曝露(ばくろ)馴化(じゅんか)と呼ばれます。ポイントは ①小さく始める ②同じやり方で繰り返す ③結果を振り返るの3つ。

イメージ:いきなり大舞台に飛び込むのではなく、 「心拍が上がる一歩手前」の課題で成功体験を重ねる。 その積み重ねが、次のレベルの自分を作ります。
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読者:先輩に「経験を積めば緊張は減る」と言われました。科学的にも本当ですか?

ハタケ(精神科医)

ハタケ:本当です。繰り返しの経験で脳の“警報”が弱まり、過度な反応が下がることが知られています。大切なのは、無理をせず「少し不安だけど頑張れる」レベルから積むこと。

早く慣れたい人のための「3ステップ」

① ミニ・リハーサル:本番を分解し、一番軽い場面から練習します。たとえば発表なら「家族1人の前で1分」→「友だち2人+2分」→「教室の後ろから3分」。

② イメージトレーニング:五感を使ってリアルに思い浮かべる。音(ざわめき)や会場の匂い、視線、手の温度まで想像→息を吐く→キーワード1語(後述)。

③ 自律訓練法(AT):リラックス状態を自分で作る練習。とくに第一・第二公式(重感・温感)は、体の力みをほどくのに役立ちます。

※確認事項:ATの確認事項(画像) / 6つの公式:公式一覧(画像)

本番につなぐ“10秒ルーチン”

練習でも本番でも同じ順番・同じ言葉で回します。

  1. 息を吐く(2秒)
  2. 姿勢リセット(背すじ・肩)
  3. キーワード1語(例:集中/丁寧/ここから
  4. 視線を一点 → スタート
クロ先生(臨床心理士・公認心理師)

クロ先生:「ミスするな」のような否定形は体が固まりやすいです。やることを短く言い切るのがコツ(例:「リング中心」「一歩目 前へ」)。

今日からできるミニ計画(7日間)

  • Day1–2:ATの第一・第二公式を各5分+イメトレ3分
  • Day3–4:ミニ・リハ1(家族1人/1分)+10秒ルーチン
  • Day5–6:ミニ・リハ2(友だち2人/2分)+10秒ルーチン
  • Day7:軽い本番(教室後方3分)→メモ「今日の合図/うまくいった所/次の一歩」

まとめ

場慣れは小さく・繰り返すことで進みます。そこにイメージ自律訓練法を足すと、スピードが上がります。今日から、いちばん軽い課題と 10秒ルーチンを始めてみましょう。

関連:スポーツメンタルトレーニング(オンライン対応)

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