本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

EMDRはオンラインでも効果ある?PTSDや不安への最新治療法

EMDRはオンラインでも受けられる? PTSDや不安障害に効果的な最新心理療法

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing/眼球運動による脱感作と再処理法)は、 トラウマ体験に結びついたつらい記憶や身体反応を“再処理”して和らげる心理療法です。 近年はオンライン実施も広がり、画面上の視線誘導・バイラテラル音・自己タッピングなどを用いて行われます。

セッションの流れ(一般例): 安定化(安心の準備)→ ターゲット記憶を特定 → 双方向刺激(目・音・タッピング) → 浮かぶ考え・感覚を安全に扱いながら再処理 → 再評価・クールダウン。
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読者:オンラインでも効果はありますか? 対面じゃないと不安で…。

ハタケ(精神科医)

ハタケ:オンラインEMDRは、対面と同程度の有効性を示した研究報告があり、 実践も世界的に広がっています(Lenferink et al., 2022)。

EMDRが効果的とされる主な症状

  • PTSD:事故・災害・虐待・いじめ・DVなどの後に続くフラッシュバック、過覚醒、回避
  • 不安障害:将来不安、対人不安、パフォーマンス場面の強い緊張
  • うつ症状:自己否定的な記憶に結びつく抑うつ・無力感
  • 恐怖症:特定対象(高所・動物・人前など)への強い恐怖と回避
  • 慢性疼痛に伴う抑うつ:EMDRが併存する抑うつの改善に寄与しうるとの報告あり(Sun et al., 2025)。

オンラインEMDRのメリット

  • 自宅で安全に:慣れた環境で実施でき、移動負担がありません。
  • 全国からアクセス:近くに専門家がいなくても受けられます。
  • プライバシー配慮:暗号化通信+守秘義務のもとで実施します。

安全に進めるための準備

  • 安心できるスペース:途中で中断・休憩が可能な環境に。
  • ヘッドホン+椅子:音刺激の聞き分けと、姿勢の安定に役立ちます。
  • 合図と中断の取り決め:体感が強い時の合図を事前に決めておきます。
  • 落ち着く方法の練習:セッション前に短いグラウンディングを用意(例:息をゆっくり吐く→足裏の感覚→室内の青い物を3つ見る)。
クロ先生(臨床心理士・公認心理師)

クロ先生:強い反応が出る可能性もあるため、評価・計画・安定化を丁寧に行います。 マインドルートではEMDRトレーニング(Weekend 2)修了の臨床心理士・公認心理師が担当します。

オンラインEMDRは、信頼できる選択肢

EMDRはPTSDや不安など幅広い症状に用いられるエビデンスのある療法で、オンライン実施も実務・研究の両面で確立が進んでいます。 大切なのは安心して話せる関係性と、あなたのペースに合わせた安全な進め方です。

関連:マインドルートの心理療法のご案内

参考・主要論文

  • Lenferink et al. (2022). Effectiveness of remotely delivered EMDR for PTSD/trauma-related symptoms. PubMed
  • Sun et al. (2025). EMDR for chronic pain with comorbid depression: potential benefits. DOI

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