「集中!」は意味ある?――練習と本番をつなぐセルフトークの使い方
セルフトークは「自分にかける短いひと言」です。たとえばプレーの前に 「集中」や「丁寧に」と心の中でつぶやくこと。実はこのひと言は、 練習でくり返すほど、本番で同じ集中を呼びやすくなる“合図”になります。
仕組みはシンプル。同じ言葉+同じ動き+同じ呼吸をセットで練習すると、 脳が「この合図のときは、こうやって動く」と覚えます。だから本番でもスッと再現できるのです。

読者:同級生から「集中って言っても意味ないだろ」と言われます。やっぱりやめたほうが…?

ハタケ:やめなくてOK。魔法の言葉ではないけれど、練習と同じ言葉を同じ順で使うと、本番の体と心がそろいやすくなります。
まずは1フレーズで十分:短く、今の形で、前向きに
ポイントは4つ――短い・現在形・肯定形・具体。
「集中」「丁寧に」「ここから」のように1〜3語で。 「ミスするな」ではなく「狙いを見る」のように、やることを言い切ります。 さらに「肘まっすぐ」「足裏安定」のように体のどこに意識を置くかも決めておくと、より再現しやすくなります。
1分で読めるミニストーリー:バスケのフリースロー
練習のたびに、次の順番で小さなルーチンを回します―― 息を吐く(2秒) → 姿勢リセット → キーワード「集中」 → プロセス語「リング中心」 → 視線を一点。
これを毎回同じ順で。すると試合でも、「集中 → リング中心」の合図で 呼吸・姿勢・視線がパッとそろい、体がいつものリズムを取り戻します。
うまくいかない時の置き換え
「アウトするな」→ 「ネット越え高め」、
「焦るな」→ 「息 長く」。
“やらないこと”ではなく“やること”に言葉を変えると、体は動きやすくなります。
勉強にも効く?(テスト前の例)
勉強前も同じです。机に座ったら 「今だけ集中」「スマホ置く」「1問ずつ」の3語を、 いつも同じ順番で。25分やったら5分休む――このリズムをくり返します。
研究では、練習時のセルフトークが集中と記憶の定着を助けること、 また心理スキルの訓練が学習の集中にも広がることが報告されています (Heydaripour et al., 2025/Merlin et al., 2024)。

クロ先生:うまく話せない・動けない日は誰にでもあります。そんな時こそ、言い換えて続けるがコツ。「言い換えます。要は──」と一呼吸置けば、流れは戻ります。
今日からできる、やさしい練習
① 自分のキーワードを1つだけ決める(例:集中)。
② 練習の最初と最後に、同じ順番でルーチンを回す。
③ 終わったらメモ――「今日の言葉/再現できた度(0〜10)/次回のひと言」。
まとめ
セルフトークは、短い合図で“いつもの自分”に戻るための道具です。 短く・今の形で・前向きに・具体的に。この4つを守って、練習と同じ言葉を本番で使ってみましょう。
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