試合中盤で集中力が切れる?――“10秒リセット”と「注意の切替」で守る集中
前半は良いのに後半でミスが増える。これは“気合”の問題ではありません。集中は技術です。 「なぜ切れるのか」を知り、決めた手順で戻す練習をすれば、中盤の失速は防げます。 なお、睡眠不足は認知コントロールを乱し競技パフォーマンスに影響することが報告されています[1][2]。
まずは原因を見える化(チェックリスト)
- 体のサイン:呼吸が浅い/心拍が高いまま/口が乾く
- 頭のサイン:「さっきのミス」が頭から離れない/視野が狭い
- 準備のサイン:睡眠が不規則/給水や補食のタイミングが遅い[2]
- 思考のサイン:「ミスするな」など否定系セルフトークが多い
1) 長く吐く(6秒) → 2) 姿勢を開く(胸を広げる) → 3) キーワード1語(丁寧/一歩目/ここから) → 4) 視線を一点(次のスペース/相手の腰) → 5) 再開
※毎回同じ順番で。考えるより、型に乗るほうが早く戻れます。事前に作ったプレ・パフォーマンス・ルーチンが集中維持に有効という知見があります[3]。

読者:バスケで、後半に集中が途切れます。どうしたら保てますか?

ハタケ:基本は前々日からの睡眠と、試合中の注意の切替。この2つが土台です。
注意の切替:3点ローテーション(各1〜2呼吸)
- 相手の腰:フェイントに惑わされにくい「軸」情報。
- 自分の呼吸:浅くなったら、吐く時間を長くして整える。
- 空いているスペース:次の一歩が出やすくなる“地図”を頭に置く。
※注意の向け方(フォーカス)はパフォーマンスに影響するという研究があります[4][5]。
マイクロルーチンの作り方
- 言葉 キーワード1語(例:丁寧)を決める
- 動作 小さな動き(手首を回す/胸を開く)を1つ
- 視線 次に使う場所を一瞬だけ固定
- 順番 ①→②→③を毎回同じ順序で
※否定語(「ミスするな」)ではなく、行動語(「一歩目」)にすると脳が動きやすい。
90秒プロトコル(TO/HT用)
- 呼吸20秒:4秒吸って6秒吐く×3
- 視線15秒:“使う位置”を一点固定で確認
- 言葉5秒:キーワード1語(合わせ/丁寧)
- 戦術50秒:自分の役割を一文で要約(私はリバウンドの一歩目)
よくあるNG → 言い換え
1週間の“集中トレ”メニュー(練習にそのまま組み込める)
日 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
月 | 基礎ドリルに10秒リセットを挟む | 動作の順番を固定 |
火 | 3点ローテ(腰→呼吸→スペース)でミニゲーム | 各1〜2呼吸で切替 |
水 | シュート/サーブ前にキーワード1語 | 否定語は使わない |
木 | 紅白戦で90秒プロトコルをTOで実施 | 役割を一文で言語化 |
金 | 試合想定。失点直後は全員でリセット | チーム合図を作る |
土 | 振り返り5分(うまくいった言葉・動作を記録) | 翌週へ引き継ぎ |
日 | 休養/軽いストレッチ+就寝時刻を整える | 前々日から睡眠を確保[2] |

クロ先生:集中は「気分」ではなく手順。その手順を練習で体に入れて、試合では自動に任せましょう。
持ち帰り:ポケット用ミニカード(コピペOK)
まとめ
集中は再現できる型で守れます。10秒リセットと3点ローテを練習から同じ順番で回し、 本番で“考えずに発動”できるところまで慣らしましょう。中盤の失速は、今日から変えられます。
参考文献
- Song Y, et al. J Neurosci. 2025. 「睡眠不足による認知コントロールの変化が競技成績を予測」 PubMed / Journal site
- Kong Y, et al. 2025. 「睡眠不足がスポーツパフォーマンスと主観的疲労に与える影響」 PMC
- Orbach I, et al. 2022. 「プレ・パフォーマンス・ルーチンは情動調整と自己効力感に有効」 PMC
- Aljahni MA, et al. 2024. 「注意の向け方(フォーカス)と競技成績:水泳の系統的レビュー」 Journal
- Łuba-Arnista W, et al. 2025. 「ホリスティック/外的フォーカスの比較(卓球)」 PMC
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