本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

大会シーズン中の心の整え方:疲労・睡眠・集中対策

大会シーズンの心の整え方:連戦でも折れない「休む・眠る・集中」のスイッチ習慣

連戦が続く大会期は、身体だけでなく心も消耗します。試合後に興奮が冷めず眠れない、翌週へ向けて集中が戻らない—— それは珍しいことではありません。ここでは、疲労・睡眠・集中を整えるための実践策を、エビデンスとともにわかりやすくまとめました。

なぜ“心も”疲れる?(要点)

  • 心理的ウェルネスの低下:大会期は気分・活力・ストレス耐性が落ちやすいという報告があります[1]
  • 興奮の残留:試合直後は交感神経が優位になり、就寝まで引きずると睡眠の質を下げます[2]
  • 回復は複合管理:栄養・睡眠・心理回復を一体で設計することが推奨されています[3]
読者

読者:試合後は頭が冴えて眠れず、翌週の試合がまた不安に……。

ハタケ(精神科医)

ハタケ:そこで効くのが“3つのスイッチ”。休む眠る集中を 合図化して、意識的に切り替えます。

クロ先生(臨床心理士・公認心理師)

クロ先生:合図があると心身が“手順化”され、回復と集中が戻りやすくなります。

3つのスイッチ:今日から使える実践

① 休むスイッチ:試合後15分の“マインドシャワー”

  • ロッカー〜シャワーの間は試合を考えない区間に指定(音楽やルーチン動作に没入)。
  • 水分+糖質の補給は「ながら」でOK(反芻対策)。
  • 軽いストレッチ&吐く息長めの呼吸(4吸6吐×6)で自律神経をクールダウン。

② 眠るスイッチ:就寝前30–45分の固定ルート

  • 明かりを落とす→同じ香り/同じ音→温シャワー→軽ストレッチ→ベッド。
  • 画面は就寝60分前に終了(通知OFF・ナイトモード)。
  • 寝つきが悪い日は“3行ジャーナル”(今日の良かった1、学び1、次の一手1)。

③ 集中スイッチ:合図→姿勢→呼吸→キーワード

  • 合図(ユニの袖を触る等)→胸をひらく→4吸6吐×3→キーワード「ここから」。
  • ポイント間は視線のアンカー(ゴール枠の角/サービスラインなど)を固定。

試合後〜就寝までの「60分プラン」例

0–15分:マインドシャワー(反芻OFF)+補給+軽ストレッチ

15–35分:移動・入浴準備(通知OFF、ナイトモード)

35–45分:温シャワー→4吸6吐×6→脚まわりストレッチ

45–60分:常用の音/香り→3行ジャーナル→就床

※カフェインは試合開始6時間以降は控えると寝つきに有利。

連戦ウィークの7日ミニプラン(例:土曜試合→翌土曜試合)

内容狙い
土(試合)マインドシャワー+60分プラン興奮のクールダウン
軽回復(散歩20分/モビリティ15分)+昼寝20分以内過剰覚醒の解除
技術軽負荷+“集中スイッチ”の短縮版を練習切替の自動化
戦術/映像15分→一人称イメージ5分判断の再学習
通常強度+入眠ルート厳守睡眠の質の底上げ
低強度+“ごほうび”タイム30分(音楽/読書等)メンタルの潤い
競技特異ルーチン確認(合図→呼吸→キーワード)本番準備の固定化

ここでつまずきやすいNG → 言い換え

  • × 反省会を就寝直前に実施 → 翌日午前に15分で区切る
  • × 眠れないからSNS → 音/香り/紙ノートの固定ルートへ
  • × 気合だけで集中 → 合図→姿勢→呼吸→キーワードの順で手順化
メンタルは才能ではなく“手順”で整う。
小さな合図と同じ順番の行動を、毎回くり返すだけで回復と集中は安定します。

参考文献

  1. Fessi MS, et al. Fixture congestion and wellness in elite soccer. J Strength Cond Res. 2016. PubMed
  2. Fullagar HHK, et al. Sleep and athletic performance. Sports Med. 2015. PubMed
  3. UEFA Expert Group Statement on nutrition & recovery in elite football. 2021. PubMed
  4. Nédélec M, et al. Sleep hygiene and recovery in soccer players. Sports Med. 2015. PubMed

関連:スポーツメンタルトレーニング(オンライン対応)

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