怒ってしまった日のための〈24時間リカバリー・マップ〉
やってしまった——。その直後から翌日までの過ごし方を地図にしておくと、心は少し軽くなります。ここでは「説教を減らし、つながりを戻す」ことに軸足を置いたリカバリー案を、0分後/2時間後/夜/翌朝の時系列でまとめました。完全でなくてOK。できるコマだけ拾ってください。
0〜10分:エンジン冷却ゾーン
- 安全叩く・投げるが見えたら距離をとり、危ない物を端へ。声は短く低く「いったんストップ」。
- 体長く吐く→水を一口→目を3秒閉じる。自分の手を“冷たいもの”に触れさせると切り替えやすい人もいます。
- 言葉独り言でOK。「いま怒り9/10。下げ中」。ラベリングで頭の回路に戻りやすくなることがあります。
NGを減らす置き換え
✕「なんで言うこと聞かないの!」 → ○「ここで止める。どうした?」(事実を短く)
✕「なんで言うこと聞かないの!」 → ○「ここで止める。どうした?」(事実を短く)
10分〜2時間:修復の入口をつくる
ミニ対話(30秒)
- 親「さっき大きい声になった。ごめん」
- 親「〇〇はどう感じた?」(言えない時はスルーで)
- 親「やり直す?休憩にする?」(二択)
非言語の修復
- 同じ机で別々の作業を1分
- ハイタッチ/背中トントン
- 絵文字表(🙂😐🙁)を指さすだけ
ワンポイント:説明は短く。理由づけが長いほど、再燃しやすくなることがあります。
その夜:リプレイと微調整(5分)
- 1分リプレイ「さっきは〈片付け×眠い〉でぶつかったね。次は〈タイマー2分〉でどう?」
- サイン決め合図を一個だけ。「親が耳たぶ触る=深呼吸タイム」など。
- やり直しごっこミニ寸劇で成功形をなぞる(10〜30秒)。笑えたら十分。
翌朝:再現して“つながりの筋トレ”
- 昨日決めた合図を使う(形だけでOK)。
- 「うまくいった」を見つけて言葉にする(例:「合図に気づけたね」)。
- 積み残しはスルー可。無理に全クリしない。
シーン別・ひとこと脚本(コピペ自由)
片付けで爆発
- 「止まろう。何が起きた?」
- 「名残惜しいんだよね。あと1回で終わりにしようか」
- 「タイマー2分、どっちが押す?」
外出前にこじれる
- 「焦り9/10。深呼吸してから話す」
- 「靴は自分で?一緒に?」
- 「エレベーターまで競歩、どう?」
兄弟トラブル
- 「ここで止める。何があった?」
- 「兄=続けたい/弟=車にしたい、で合ってる?」
- 「交代?別遊び? 二択で決めよう」
寝かしつけで再燃
- 「眠気が強い。今日は“読むだけ”にしよう」
- 「明日は明日でやり直せるよ」
年齢別のさじ加減
- 2–4歳:非言語を多めに。抱っこ・指さし・真似遊び。
- 5–8歳:二択を固定。「説明は一言」「見通しは具体」。
- 9–12歳:合意形成の練習。「自分案/親案/折衷案」を紙に3行。
親の心を守るメモ
- 夜に大反省会は開かない(疲れているほど厳しくなりがち)。
- 「今日できた1ミリ」を手帳に一行。続けるほど自己効力感が戻りやすいことがあります。
- 同じ場面で何度も苦しいときは、環境側(時間割・物の配置・人手)をいじるのが近道です。
よくあるつまずき → 置き換え例
- 「でもあなたも悪いよね?」→ 置き換え:「事実を順番に並べよう」
- 「もう怒らせないで」→ 置き換え:「次に困ったら合図を出そう」
- 長い説教→ 置き換え:「15秒のやり直しごっこ」
超短縮版(印刷メモに)
Reset(吐く・水・目3秒) → Repair(ごめん+気持ち一語) → Reconnect(二択 or 非言語)
合図は一個/説明は一言/成功を一行メモ
合図は一個/説明は一言/成功を一行メモ
参考文献(主要)
- Lieberman MD, et al.(2007)Affect labeling and amygdala activity. Psychol Sci. PMID: 17576282 PubMed
- Burkhardt SCA, et al.(2024)Tuning in to Kids(オンライン)RCT. Scientific Reports. PMID: 38424200 PubMed
※本稿は一般情報です。安全確保が優先です。対応は年齢・発達・家庭状況で変わります。
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