本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

「恥ずかしい…」動けない子どもへの声かけ|失敗を怖がらずチャレンジできる子に育てる3つの工夫

「恥ずかしい…」で固まるわが子に。背中をそっと押す、親のやさしい作戦

読む時間 約4分そのまま使える声かけ付き

人前で固まる。小さな声しか出ない。顔が赤くなって下を向く——これらは「性格の弱さ」ではありません。「みられているかも」を強く意識したときの自然な反応です。ここでは、中学生にもわかる言い方で、今日から試せる具体策だけをまとめます。

まず知っておくとラクになる3つの事実

  • 恥ずかしさはブレーキ。危険を避けるための反応。悪いものと決めつけない。
  • 不安は「小さく慣れる」と下がる。いきなり本番でなく、小さな段階を踏むと動きやすい。
  • 言葉での共感は痛み止め。「ドキドキするよね」と気持ちに名前をつけてもらうと、少し落ち着くことが多い。

その場で役立つ〈声かけスリーステップ〉

  1. 気持ちを見える化(共感)
    親「今は恥ずかしくてドキドキなんだね。ここで深呼吸しよう」
  2. 行動を最小化(ハードル下げ)
    親「今日は手を挙げずにうなずくだけでもOK」
  3. 事実でほめる(達成の言語化)
    親「さっき前を見られたね。昨日より一歩進んだ」
コツ:評価語(「えらい」「すごい」)だけで終わらず、何ができたかを具体的に言います。

練習は「家 → 半分公開 → 本番」の順

家(安心ゾーン)
・家族の前で1分だけ発表ごっこ
・鏡の前で表情の練習/録音して自分で聴く
半分公開(小さな外)
・教室の後方で口パク参加
・お店で小声注文(親が横で復唱)
本番(自分で選ぶ1アクション)
・挨拶だけ/名前だけ言う/列の端に並ぶ
終わり方も決めておく
・終わったらハイタッチ→水を飲む→一言ほめる

言い換えの工夫:NG→OK

  • ×「恥ずかしくないでしょ!」→ OK恥ずかしいって普通だよ。どうしたら一歩だけ行けそう?」
  • ×「頑張れ!」→ OK10秒だけ一緒に立ってみよう。終わったら帰ろう」
  • ×「なんでできないの?」→ OK今日は見る役にする?それとも10秒やる役にする?」

家で使える“ちょい足し”サポート

  • 成功メモ1行…「今日は目を上げられた」など、できたことを1行だけ書く。
  • 失敗の共有…親が自分の小さな失敗談を先に話す。「間違えても大丈夫」の空気を作る。
  • 位置の安全…「前列はまだ不安→後方ならOK」など、立ち位置を調整して負担を下げる。
ポケット台本(30秒で準備)
  • 親「いまの気持ち、1語で言うと?(恥ずかしい/こわい/ドキドキ)」
  • 親「今日は『見る役』と『10秒やる役』、どっちにする?
  • 親「終わったらハイタッチしておしまいね」

つまずいた時の立て直し

  • 固まって動けない:人の少ない場所へ半歩移動→呼吸→「今日は見る役」に切替。
  • 涙が出た:抱っこ・水分・静かな所。落ちついてから短い振り返り(できた点を1つ)。
  • 親が焦る:深呼吸2回→「ここまででOK」と区切る。次回の橋をかける(「次は後ろから手を振ろう」)。

ミニケース:Kさん(小1)

Before:朝の挨拶で固まり、教室に入れず涙。
Action:①家で1分発表ごっこ ②校門→教室手前まで「見る役」 ③教室後方で手を挙げずにうなずく練習。
After:3週目、挨拶は小声で成功。「目を上げられた」「うなずけた」を親子で言語化するのが定番になり、本番前の不安が短くなったと感じられた。
※効果の出方には個人差があります。合う部分だけ取り入れてください。

安全と専門性のメモ:強い不安が長く続く、生活に大きな支障が出る、身体症状(腹痛・吐き気など)が頻発する場合は、学校・園の先生、医療機関、自治体の子育て支援窓口などに早めにご相談ください。本記事は一般情報で、診断・治療を代替するものではありません。

わが家向けの「見る役→10秒→本番」の設計図を一緒に作りたい方は、オンライン相談(30分)で明日のひと言を整えましょう。

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事