本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

試合会場に慣れるのは必要?スポーツ選手のメンタルトレーニング

試合前に会場を見に行くのって意味あるの?

読者 読者: プロのテニス選手って、どんなメンタルトレーニングをしてるんですか? 最近、自分も試合前に会場を見に行ったらちょっと安心できたんですけど、これって意味あるんでしょうか?
ハタケ ハタケ: それ、すごく良い行動ですよ。実は「イメージトレーニング」や「環境への慣れ」は、プロの世界ではよく使われてるんです。最近の研究でも、バーチャルリアリティ(VR)を使って試合環境を疑似体験することで、不安の軽減に効果があるって報告されていますよ(Trpkoviciら, 2025)。
クロ先生 クロ先生: 現地の会場を実際に見るって、まさに「事前露出」の一種ですね。特にパフォーマンス不安がある人には、事前にその場所を体験しておくことで、「未知」への不安を減らす効果があります。安心感が増すと集中力も上がりやすいんです。

最新研究から見るメンタルトレーニング

最近の研究では、バーチャルリアリティを活用したトレーニングが注目されています(Trpkoviciら, 2025, Front Sports Act Living)。選手が試合前にVRで試合環境を再現することで、実際のプレッシャーに慣れ、心拍数や不安感の低下が見られました。

また、軽いプレーを通して不安軽減に効果があることも示されており(de Freitasら, 2024)、緊張のある場面でも、体を動かして慣れていくことの重要性がわかっています。

実生活に取り入れやすい3つのポイント

  • 試合前に会場を下見する:観客席の位置や音の響き、照明などに慣れておくと本番に集中しやすくなります。
  • イメージトレーニング:本番の流れを具体的に思い描くことで、心が段取りに慣れて落ち着きやすくなります。
  • 軽いウォームアップや練習:試合前に少し体を動かすことで、不安を軽減しやすくなります。
クロ先生 クロ先生: 不安は「未知」から生まれることが多いので、環境に慣れることや、想像で準備することがとても効果的なんですよ。プロの選手も、地道なルーティンを大事にしています。

マインドルートからのお知らせ

マインドルートでは読者の方からのご質問に対し、コラムを用いて専門的な見解を積極的にご回答します。



LINEで手軽に質問

投稿者プロフィール

畠山 博行
畠山 博行精神科医/マインドルート代表医師
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。

試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。

「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。

また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。

所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です