本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

声が震えるのは気合い不足?スピーチ不安の正体と対処法を解説

読者からの質問

読者 人前で話すと、声が震えてしまいます。心臓もバクバクして、頭が真っ白に…。これって気合いの問題?それとも身体が何かおかしいんでしょうか?

ハタケの回答

ハタケ これは「気合い」ではどうにもならない、生理的な反応です。スピーチ不安、つまり「パブリックスピーキング恐怖症」は、身体が危険と判断して防衛モードに入ることで、声の震えや動悸、発汗といった症状を引き起こします。

2025年の研究(Fagioliら)では、心拍変動(HRV)が不安症状の予後に関係しており、心の状態と身体の反応が密接に関係していることがわかっています。つまり、心と体は一体なんです。

クロ先生の解説

クロ先生 面白いのは、バーチャルリアリティ(VR)とバイオフィードバックを使った練習で、緊張が軽減するという研究も出てきています(Premkumarら)。 これは、自分の心拍や呼吸をモニターして「落ち着いている状態」を身体に覚えさせる方法です。

緊張自体は悪いことではなく、適度なプレッシャーがパフォーマンスを高めることもあります。でも、自分の身体反応を「敵」ではなく「味方」として扱うことができると、安心感が生まれやすくなりますよ。

声の震えを抑える実生活Tips

  • 1. 呼吸をコントロール:4秒吸って、4秒止めて、4秒吐く「ボックス呼吸」で交感神経を落ち着かせます。
  • 2. 体を動かす:スピーチ前に軽いストレッチやウォーキングをすると、過剰な緊張を放出できます。
  • 3. バーチャル練習:鏡の前やスマホ録画で、自分のスピーチを何度も再現してみましょう。
  • 4. 小さな成功体験を積む:まずは少人数の前で話すなど、段階的に慣らすことが効果的です。

まとめ

声が震えるのは、あなたの心が弱いからではありません。身体が「守ろう」としている反応なのです。だからこそ、その反応と向き合い、整える方法を身につけることが大切です。もし悩みが深い場合は、専門家と一緒にアプローチするのもひとつの選択です。

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投稿者プロフィール

畠山 博行
畠山 博行精神科医/マインドルート代表医師
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。

試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。

「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。

また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。

所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会

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