心理療法で禁煙・禁酒がラクになる?最新研究を解説
禁煙・禁酒に効く?催眠療法の科学的エビデンス
読者:禁煙しようとしてもストレスでイライラして、つい吸っちゃうんです…。催眠療法って本当に効くんですか?
ハタケ:実は、近年の研究で催眠療法が禁煙や禁酒に効果的だと示されていますよ。怪しいイメージがあるかもしれませんが、科学的にも注目されています。
研究1:催眠 vs 認知行動療法(CBT)
クロ先生:2024年に Frontiers in Psychology に掲載された研究では、催眠療法と認知行動療法(CBT)を比較したRCT(ランダム化比較試験)が行われました。
- ✅ 催眠はCBTと同等以上の禁煙効果
- ✅ ストレスや禁断症状の軽減にも有効
ハタケ:つまり、心のストレスにアプローチする力が強いのが、催眠の特徴なんです。
研究2:催眠 vs ニコチン代替療法(NRT)
クロ先生:さらに2022年の American Journal of Clinical Hypnosis(AJCH)では、ニコチンパッチやガムと催眠を比較する研究が行われました。
- ✅ 催眠の方が「不安・ストレス・集中力低下」などの離脱症状を抑える効果が高かった
読者:薬より効くこともあるって、ちょっと驚きですね…!
研究3:禁酒にも効果あり?
クロ先生:古い研究ですが、1973年の British Journal of Addictions では、アルコール依存の治療にも催眠が使われており、禁酒成功率の向上が見られたという報告もあります。
- ✅ ストレス管理
- ✅ 飲酒欲求の抑制
実生活で使える3つのTips
- ① タバコorお酒の「きっかけ感情」を記録する: 吸いたくなる瞬間の感情に注目
- ② 深呼吸+自己暗示: 「吸わなくても大丈夫」と自分に語りかける
- ③ 5分だけ「待つ」習慣: 衝動は短時間で消えることが多いです
まとめ
催眠療法は「意志が弱いからやめられない」と思いがちな人にこそ、効果が期待できるアプローチです。CBTや薬との比較でも、心理的な離脱症状に強いという特徴があります。
ハタケ:「頑張らない禁煙・禁酒」も選択肢のひとつ。もっと自分に合ったやり方を探してみましょう。
マインドルートで「無理しない卒煙・卒酒」をサポート
マインドルートでは、精神科医ハタケと心理士クロ先生が、あなたに合った「こころの手放し方」を一緒に探します。
次回予告
次回は「反芻思考(ネガティブループ)を止めるための心理テクニック」についてお届けします。
投稿者プロフィール

- 精神科医/マインドルート代表医師
-
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。
試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。
「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。
また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。
所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会
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