禁煙を成功させる人の「頭の中」。実は思考のクセがカギ?
読者からのご相談
禁煙を何度も試しているのですが、3日もすればまた吸ってしまいます。意志が弱いせいでしょうか…。どうしたら「ちゃんと続けられる頭」になれますか?
専門家によるアドバイス
ハタケ:
ご相談ありがとうございます。まずお伝えしたいのは、「意志が弱い」という考え方自体が、実は禁煙成功を妨げる“思考のクセ”である可能性があるということです。
クロ先生:
そうですね。最近の研究では、禁煙の成功率は「自己効力感(=自分ならできるという感覚)」や「柔軟な思考パターン」と深く関係していることが示されています(※例えば2025年のPLoS One誌の研究 [PMID: 40153372])。
ハタケ:
「どうせ無理」「失敗した自分はダメ」という“思考の自動反応”が脳に根づいていると、再挑戦する意欲がそがれてしまうんです。ですから禁煙支援では「行動」だけでなく、「思考」へのアプローチも必要なんです。
クロ先生:
たとえば催眠療法やマインドフルネスを取り入れることで、「吸いたい」という衝動を観察する力が高まり、反応的な行動を抑える力がつくという報告もあります。
ハタケ:
大切なのは「やめられない自分」を責めないこと。思考のクセに気づき、少しずつ柔軟な考え方に変えていくことが、禁煙成功のカギになります。
禁煙成功のために使える3つの実践Tips
- 1. 自分の「自動思考パターン」に気づく 「またダメかも」と思った瞬間に、「それは思考であって現実ではない」と一歩引いてみる。
- 2. “吸いたくなった時”の行動代替リストを用意 散歩、深呼吸、ガム、3分間アプリなど「吸う以外の選択肢」を事前に準備。
- 3. 成功者のマインドセットを参考にする 成功体験者の話や本を読んで、「やめたあとの自分」を具体的にイメージ。
参考文献(PubMed)
- Nyamekye E, et al. Investigating the influence of language teachers' constructivist self-efficacy. PLoS One. 2025;20(3):e0320246. [PMID: 40153372] [https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40153372/](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40153372/)
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投稿者プロフィール

- 精神科医/マインドルート代表医師
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2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。
試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。
「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。
また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。
所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会
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