本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

スポーツ前の緊張で実力が出せない時の3つの対処法|マインドフルネスの活用も紹介

スポーツ前の「緊張」で力が出せない…どうしたら?

読者 読者: 部活で大会が近づくと、緊張でお腹が痛くなったり、手が震えたりして実力を出し切れません。どうすればこの「パフォーマンス不安」を克服できるのでしょうか?

ハタケ ハタケ: スポーツの場面で感じる強い不安や緊張は「パフォーマンス不安」と呼ばれ、アスリートにも多く見られます。2025年の論文(Portesら)では、こうした不安を軽減する新しい手法として「マインドフルネス」や「心理的介入」の有効性が議論されています。

クロ先生 クロ先生: また、視空間能力や身体のコンディションが緊張状態に影響することもわかってきました(Piskunowiczら, 2025)。ですので、「心」だけでなく「体」の準備も重要なんです。

ハタケ ハタケ: ちなみに、「パフォーマンス不安」は、全て取り除く必要はありません。ある程度の緊張は集中力や反応速度を高める「適度なストレス」として、むしろ味方になることもありますよ。

実生活で使える3つの対策

  • 呼吸法を身につける: 深呼吸や腹式呼吸は自律神経を整え、即効性のある不安対策になります。
  • イメージトレーニング: 試合前に「成功している自分」を繰り返し想像することで、脳が本番に慣れていきます。
  • ルーティンを作る: 決まった動きや音楽で「試合モード」に入りやすくなります。トップアスリートも実践しています。
  • 緊張は敵じゃないと捉える: 「ドキドキ=準備ができている証拠」と考えるだけで、不安がエネルギーに変わります。

まとめ

パフォーマンス不安は誰にでも起こる自然な反応です。正しい知識と具体的な対処法で、緊張を「力」に変えていきましょう。


参考文献:

  • Portes MAM, et al. Is there a place for psychedelics in sports practice? Acta Neuropsychiatr. 2025. doi: 10.1017/neu.2025.13
  • Piskunowicz M, et al. Visuospatial abilities and cardiorespiratory fitness in amateur sport climbers. J Sports Med Phys Fitness. 2025. doi: 10.23736/S0022-4707.25.16651-6

マインドルートでは読者の方からのご質問に対し、コラムを用いて専門的な見解を積極的にご回答します。

投稿者プロフィール

畠山 博行
畠山 博行精神科医/マインドルート代表医師
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。

試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。

「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。

また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。

所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会

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