本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

試合中のイライラと集中力低下をどう乗り越える?感情コントロールの科学的アプローチ

試合中にイライラして集中できない…感情の波にどう向き合う?

読者アイコン 読者: 最近、試合中に相手や判定にイライラしてしまって…。そこから集中力が切れて、実力を出しきれないことが多くなって困っています。

ハタケアイコン ハタケ: それは辛いですね。試合中の怒りや苛立ちって、パフォーマンスに直結しますよね。実際に、2024年の研究では、感情のコントロールに自信を持つことが、競技中の怒りを和らげ、集中力や自己効力感を高めると報告されています。

クロ先生アイコン クロ先生: なるほど。つまり「感情をコントロールできる」という信念そのものが、競技力を支えるんですね。イライラを減らすためには「怒りの感情を観察するスキル」が重要になってきます。

ハタケアイコン ハタケ: そうそう。最近では「情動調整」つまりEmotional Regulationのトレーニングが注目されていて、軍隊でも応用されているんですよ。2025年の論文では、身体の緊張をほぐす「ベジオセラピー」が感情調整に効果的だったという結果も出ています。

クロ先生アイコン クロ先生: 身体からのアプローチも大切ですね。ボクサーを対象にした研究でも(Front Psychol, 2021)、ストレスの多い状況でも「意識的に呼吸や姿勢を調整すること」が気分の安定に寄与していましたよ。

今日から実践できる!感情を整える3つのヒント

  • 1. 呼吸の主導権を取り戻す:イライラを感じたら「4秒吸って、6秒吐く」呼吸を3セット繰り返しましょう。自律神経が整い、冷静さを取り戻せます。
  • 2. 感情の「実況中継」:「今、怒ってるな」「悔しいと思ってるな」と自分の状態を実況中継するだけで、感情に流されにくくなります。
  • 3. プレパフォーマンス・ルーティン:試合前に深呼吸・ルーティン動作を決めることで、心を整えてから試合に臨めます。

ハタケアイコン ハタケ: 自分の感情に気づいて、対処できるようになると、どんな場面でも冷静に対応しやすくなりますよ。

クロ先生アイコン クロ先生: 「怒らない自分」ではなく、「怒っても戻れる自分」を目指すのがコツですね。焦らず少しずつで大丈夫です。


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投稿者プロフィール

畠山 博行
畠山 博行精神科医/マインドルート代表医師
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。

試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。

「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。

また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。

所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会

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