本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

自我状態療法とは?トラウマ治療や不安対処に活かす心理療法の効果と実例

🧠 自我状態療法って、どんな心理療法?

読者 読者: 最近「自我状態療法(Ego State Therapy)」って聞くけど、どういうものなんですか?人前で緊張しやすい性格にも効くんでしょうか?

ハタケ ハタケ: いい質問ですね。自我状態療法は、心の中にあるさまざまな「自我の部分(パーツ)」に働きかける治療法です。「子どもの自分」「怒っている自分」「頑張りすぎる自分」などが登場人物のように心の中に存在して、それぞれの声を丁寧に聴いていくんです。

クロ先生 クロ先生: そうなんです。特に過去のトラウマ対人不安のある方には、自分の一部が無意識に強く反応してしまうことがあります。例えば「人前で声が震える」という場合、それは過去に傷ついた「恥ずかしがり屋の自我状態」が反応している可能性があるんですよ。

🔬 エビデンスはあるの?

ハタケ ハタケ: はい、PubMedでも複数の文献があります。例えば、ある研究(PMID: 40092070)では、自我状態の活性の違いが脳内ネットワークに影響を及ぼす可能性が指摘されています。まだ発展段階ではありますが、複雑性PTSDや解離性障害への応用が進んでいます。

📌 パフォーマンス不安への応用例

  • 「人前で話すときに別人のように萎縮する」→ 過去の記憶と結びついた自我状態を癒す
  • 「頑張りすぎていつも疲れてしまう」→ 内なる「完璧主義者」との対話
  • 「イライラして自分をコントロールできない」→ 怒りの自我を分離して向き合う

💡 今日からできる3つのTIPS

  • ①「今の自分」を実況する:例「今、すごく不安な“私”が出てきている」
  • ② ノートに書き出してみる:「心の中のキャラ紹介」のように、自我の名前をつけて整理
  • ③ 呼吸法+イメージワーク:安心できるイメージの中で、自我状態を優しく包む

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投稿者プロフィール

畠山 博行
畠山 博行精神科医/マインドルート代表医師
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。

試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。

「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。

また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。

所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会

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