本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

緊張で眠れない夜に:自律訓練法で脳を落ち着かせる3つのステップ

緊張で眠れない夜に:脳を休める自律訓練法(心臓への意識を含まないやさしい方法)

読者 読者:明日の試験や発表のことを考えると緊張して眠れません…。布団に入っても頭がずっと動いていて。

クロ先生 クロ先生:それは「パフォーマンス不安」による睡眠困難の一種ですね。そんなときは、自律神経を整える「自律訓練法」が効果的です。

ハタケ ハタケ:自律訓練法はリラックスを引き出す自己暗示の一種で、副交感神経(リラックスモード)を優位にしやすくします。心臓への意識を含まない、初心者向けのやさしいバージョンから始めましょう。

エビデンスにもとづく安心感

研究によると、自律訓練法は睡眠の質を高める補助的な方法として有望であると報告されています(Perfect & Elkins, 2010)。特に、緊張や不安に関連する不眠症に対し、落ち着きをもたらすことが期待されます。

参考文献:Perfect MM, Elkins GR. J Clin Psychol. 2010

今夜からできる!やさしい自律訓練法3ステップ

静かな場所で、椅子に座るか、布団の中で横になって行ってください。目を閉じて、以下の言葉を心の中でゆっくりと繰り返します。

  • 1.「右腕が重たい」
    筋肉が緩んでいくイメージ。左右交互に繰り返してもOK。
  • 2.「右腕が温かい」
    血流がじんわり広がっていくような感覚を想像してみてください。
  • 3.「額が涼しい」
    熱くなった頭を静め、思考を鎮めるイメージで。

Tips:やさしく続けるための工夫

  • 1日1回、寝る前のルーティンにすると習慣化しやすい
  • 音声ガイド(YouTubeやアプリ)を活用すると安心感が増します
  • 途中で雑念が浮かんでもOK、優しく戻してあげましょう

まとめ

眠れない夜、頭が冴えて困るときには、心臓のドキドキにとらわれずに取り組める自律訓練法の初級ステップがとても役立ちます。練習を重ねるほど、自然と深いリラックスが得られるようになりますよ。


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投稿者プロフィール

畠山 博行
畠山 博行精神科医/マインドルート代表医師
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。

試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。

「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。

また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。

所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会

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