本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

スポーツメンタルトレーニングに効く「集中!」の科学的使い方

「集中!」って本当に意味あるの?練習と本番をつなぐ“セルフトーク”の力

読者 読者:

大事なプレーの前に「集中!」って言うのがクセになってます。でも同級生からは「意味ないだろ」って笑われたことも…。でも、練習中も使ってるし、やめた方がいいんでしょうか?

ハタケ ハタケ:

実はその「クセ」、とても良い習慣かもしれませんよ。「集中!」という言葉が魔法のようにパフォーマンスを変えるわけではありませんが、うまく使えば“心のスイッチ”になります。

クロ先生 クロ先生:

2025年の研究(Heydaripour et al., 2025)では、練習中に「セルフトーク(自分に向けた声かけ)」を取り入れた学生は、運動記憶の定着や集中力の維持に効果があるとされています。

ハタケ ハタケ:

「集中!」を繰り返すことで、集中状態が自然に再現できるようになる。これはスポーツの本番だけでなく、勉強にも活かせるんですよ。

■ 具体例でみる:セルフトークの効果的な使い方

  • バスケのフリースロー:「深呼吸して、リズム整えて、集中!」
  • 野球の守備前:「一歩目しっかり」「丁寧に処理」
  • サッカーの試合前:「いつも通り」「楽しもう」
  • テニスのサーブ前:「切り替え」「もう一回、集中」「ここから」
  • テニスのリターン前:「気持ちリセット」「一球集中」「構えから集中」

■ 部活の集中力は勉強にも応用できる?

心理スキルトレーニングを受けた学生は、学習場面でも集中力やストレス耐性が向上するという研究報告もあります(Merlin et al., 2024)。

たとえば勉強中に「今だけ集中」「スマホ見ない」「1問ずつやる」など、部活と同じようにセルフトークを使えば、集中力を維持しやすくなります。

実生活で活かせる4つの工夫

  • 練習で定着させる: 同じ言葉を繰り返し使い、体に染み込ませる
  • 言葉は短くてOK: 「集中」「切り替え」「いこう」などで十分効果あり
  • 勉強にも応用: 試験や勉強前にもルーチン化して使う
  • 効果を記録する: どんな言葉が合っているかを振り返る

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投稿者プロフィール

畠山 博行
畠山 博行精神科医/マインドルート代表医師
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。

試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。

「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。

また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。

所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会

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