“もう限界”と思ったママへ。感情と脳を整えるリセット術
“もう限界”と思ったら読んでほしい。感情と脳のリセット術

読者:毎日子どもの世話や家事でいっぱいいっぱい…。些細なことでイライラして、「もう限界かも」と感じてしまいます。

ハタケ:その気持ち、とても自然なことです。私たちの脳は、ストレスが蓄積すると感情のコントロールが難しくなる構造を持っています。

クロ先生:実際に、2025年の研究では、親のメンタル状態が育児行動に影響するだけでなく、「マインドフルネス」など感情の整え方を学ぶことで自己効力感(=自分はできるという感覚)が高まることが示されています。
ストレスがかかると脳で何が起きている?
ストレスを感じたとき、脳の「扁桃体(へんとうたい)」が過敏になり、怒りや不安といった感情が爆発しやすくなります。そして、理性や判断をつかさどる「前頭前野」の働きが弱まることで、感情のブレーキが利きにくくなるのです。
最新の研究(Bair-Marshallら, 2025)では、感情やストレスにより変化する脳の神経回路が、「ケアする気持ち」さえも左右することが示されています。つまり、限界を感じるのは“やさしくなれない自分のせい”ではなく、“脳が疲れているサイン”なのです。
“限界”のサインに気づいたら試したいリセット術
- 1. 感情のラベリング:「今、私は疲れている」「悲しい」「怒ってる」と言葉に出すだけで、前頭前野が働き出し、落ち着きを取り戻します。
- 2. 音と匂いで脳を切り替える:好きな音楽やアロマを使って、感情を別の方向に“そらす”のも効果的です。
- 3. 「3秒目を閉じる」だけでもOK:その間、目からの刺激をカットするだけで脳の興奮が少し落ち着きます。

ハタケ:“限界”を感じるあなたは、がんばっている証拠。責めるのではなく、脳を「休ませること」が必要です。

クロ先生:「やさしくなれない」と感じたときは、まず自分自身にやさしくなってみてください。それが心のリセットの第一歩です。
誰かに話したいと思ったときは
マインドルートでは読者の方からのご質問に対し、コラムを用いて専門的な見解を積極的にご回答します。
投稿者プロフィール

- 精神科医/マインドルート代表医師
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2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。
試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。
「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。
また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。
所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会
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