自律訓練法って何?オリンピック選手も実践するメンタル強化の基本とコツ
自律訓練法って何?オリンピック選手も使ったって本当?
読者:最近「自律訓練法」って言葉を聞くようになりました。ストレスに効くとか、リラックスに良いとか。オリンピック選手もやってるって本当なんでしょうか?自分でもできるなら試してみたいです。
ハタケ:はい、それは本当です。自律訓練法(Autogenic Training)は、ドイツの精神科医ヨハネス・シュルツが開発した自己暗示によるリラクゼーション法です。身体の状態に意識を向けて、落ち着いた状態を作り出す方法で、オリンピック選手を含むトップアスリートたちのメンタルトレーニングにも取り入れられています。
クロ先生:自律訓練法の魅力は、道具がいらず、どこでもできるというシンプルさにあります。パフォーマンス不安やストレス、不眠などの症状に対して、多くの臨床現場でも用いられてきました。研究によっても、その効果が一定程度示されています(例:Hashim & Zainol, 2015)。
✅ 自律訓練法で使われる6つの公式
以下のような「自己暗示」を使って、身体と心をリラックス状態に導きます。
- 第一公式:「両腕が重たい」(筋肉のリラックス)
- 第二公式:「両腕が温かい」(血流の促進)
- 第三公式:「心臓が静かに鼓動している」(心拍への意識)
- 第四公式:「呼吸が楽だ」(呼吸を落ち着かせる)
- 第五公式:「お腹が温かい」(内臓のリラックス)
- 第六公式:「額が涼しい」(集中と覚醒のバランス)
🔰 まずはここから:おすすめは第一公式と第二公式
初めての方におすすめしたいのは、最初の2つの公式です。この2つは筋肉と血流をターゲットにしていて、身体の感覚に気づく練習として最適です。
- 第一公式:「右腕が重たい…左腕が重たい…両足が重たい…」とゆっくり唱えます。
- 第二公式:「右腕が温かい…左腕が温かい…両足が温かい…」と続けましょう。
コツは、無理に「そう感じよう」とせず、ただ静かに言葉を心の中で繰り返すこと。夜寝る前や、昼休みに椅子に座った状態でも行えます。
📌 ここから先は、専門家と一緒に
心臓や呼吸に関わる「第三公式」「第四公式」から先は、少し注意が必要です。「心臓が静かに打っている」と自己暗示しても、不安が強い方だと逆に心拍数が気になってしまうこともあります。また「呼吸が楽だ」と言いながら、かえって息苦しさを感じてしまうことも。
ハタケ:こうした反応は珍しくありません。自律訓練法の目的は「自分の状態に気づき、整える」こと。自己流で逆に体調が崩れると本末転倒ですよね。そんなときは、ぜひ専門家に相談してみてください。
🎯 マインドルートでは、自律訓練法の実践サポートも行っています
マインドルートでは、精神科医と心理士が連携し、安心・安全な自律訓練法の習得をサポートしています。オンラインでの練習サポートや、集中力・不安・睡眠などの悩みに合わせた個別プログラムもご用意しています。
本やネットだけでは不安な方、自分に合ったリラクゼーションを見つけたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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投稿者プロフィール

- 精神科医/マインドルート代表医師
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2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。
試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。
「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。
また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。
所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会
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