本ページは、精神科医・畠山博行(マインドルート代表医師)の監修のもとで執筆されています。

うまく話そうとすると逆効果?完璧主義を手放すプレゼンの心構え

読者のご相談

読者:

プレゼンや発表の場になると、「うまく話さなきゃ」「失敗は許されない」と思えば思うほど、頭が真っ白になってしまいます。完璧にやろうとするほど緊張してしまい、結局伝えたいことが伝えられず後悔…。どうすればこの悪循環から抜け出せるのでしょうか?

ハタケ(精神科医)

ハタケ:

ご相談ありがとうございます。実は、プレゼンやスピーチ前に緊張が高まる原因のひとつが「完璧主義」です。「失敗してはいけない」「ミスは見せられない」という考えが強くなると、かえって自分の能力を発揮できなくなります。

たとえば2016年の研究(Howellら, 2016)では、完璧主義の人ほどネガティブな情報に対して過敏に反応しやすく、それがパフォーマンス不安に繋がることが示されています。

クロ先生(心理士)

クロ先生:

そうですね。完璧を目指すあまり、自己評価のハードルがどんどん高くなり、「これじゃダメ」と自己否定が始まりやすくなるんです。

むしろ大事なのは、「うまく話す」ではなく「伝わること」。つまり、“目的は完璧なプレゼン”ではなく、“聞き手に思いが届くこと”なんです。

実生活で使える3つのTips

  • 1. 「80点でOK」のマインドを持つ:失敗しても聞き手は案外気にしていません。自分への期待値を少し下げてみましょう。
  • 2. 練習の目的は「慣れること」:完璧に言い切る練習よりも、「少しつまずいても立て直せる経験」を重ねる方が効果的です。
  • 3. 聞き手に意識を向ける:「自分がどう見えるか」ではなく、「相手が理解できているか」に意識をシフトすることで、緊張が和らぎます。

心構えを変えることが第一歩

完璧を目指すことでかえって本来の力が出せなくなってしまうのは、とてももったいないことです。「伝えたいことを、伝わる形で届ける」──その柔軟な心構えが、緊張の悪循環を断ち切るカギになります。

マインドルートでは読者の方からのご質問に対し、コラムを用いて専門的な見解を積極的にご回答します。

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投稿者プロフィール

畠山 博行
畠山 博行精神科医/マインドルート代表医師
2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。

試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。

「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。

また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。

所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会

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