「場慣れで緊張は克服できる」は本当?科学的根拠と早く慣れる3つのコツ
読者:
部活の先輩に「緊張は場慣れで克服できるから、経験を積めば大丈夫」と言われました。これって本当に科学的にも正しいんでしょうか?
ハタケ:
その先輩、なかなか鋭いことをおっしゃいますね。実は「緊張は経験によって減っていく」という考え方には、ちゃんとした医学的な裏付けがあるんですよ。
クロ先生:
そうそう!心理学では「曝露(ばくろ)療法」や「馴化(じゅんか)」っていう理論があって、これは怖いと感じる状況に少しずつ慣れていくことで、不安が減っていくという考え方です。まさに“場慣れ”ですよね。
ハタケ:
最近の研究でも「繰り返し経験することで、脳がその状況に慣れて、過度な反応をしなくなる」っていう結果が出ています(例:Hwang HMら, 2024年, Molecular Psychiatry誌)。
読者:
なるほど…!でも、できればもっと早く慣れたいんです。場慣れを早める方法ってないですか?
クロ先生:
その気持ち、すっごくわかります!できるだけ早く慣れたいときには、こんな工夫が効果的です。
- 1. イメージトレーニング: 本番をリアルに想像し、自分が落ち着いてうまくやっている様子をイメージしましょう。
- 2. ミニリハーサル: 少人数の前で練習したり、自分で動画を撮って確認してみましょう。
- 3. 自律訓練法: リラックス状態を自分で作る練習で、緊張しやすい場面でも落ち着けるようになります。
ハタケ:
ちなみに、マインドルートのオンラインカウンセリングでは、この「自律訓練法」や不安コントロール法を一緒に練習することもできますよ。必要に応じて、ぜひご活用くださいね。
実生活で活かせる3つのポイント
- 小さな成功体験を積む: 自信がつくと緊張は自然と減っていきます。
- 練習の場を「わざと」作る: 家族や友達の前でスピーチ練習など、本番に近い状況を再現。
- リラックス法を日常に取り入れる: 深呼吸や自律訓練法を、日頃から習慣化しましょう。
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投稿者プロフィール

- 精神科医/マインドルート代表医師
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2020年 東海大学医学部卒業。総合病院、離島医療、児童精神科などでの診療を経て、現在は急性期医療から在宅医療まで幅広い臨床現場に携わりながら、子どもから大人までのメンタルケアにも従事。
試験前やスポーツ前の緊張、不安定な集中力、やる気の波などに対し、スポーツメンタルトレーニングの視点を取り入れた自律訓練法や認知的アプローチを活用。オンラインで気軽に受けられるメンタル支援サービス「マインドルート」を運営。
「禁煙したいけどやめられない」「本番に強くなりたい」「緊張を力に変えたい」といった悩みに寄り添い、心と行動を整えるサポートを行っている。
また、「子育てがきつい・しんどい」と感じる方の悩みにも、自身の育児経験をもとに等身大の視点で発信。PubMedなどの論文を通じた確かなエビデンスに基づき、信頼できる情報をわかりやすくコラム形式で届けている。
所属学会:日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、かながわ地域精神科医会
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